2005年12月26日(月) 22時50分
<ねずみ講>債権者に最終配当手続き終了 天下一家(毎日新聞)
80年に破産した国内最大のねずみ講「天下一家の会・第一相互経済研究所」(熊本市)の破産管財人は全国約6万7000人の債権者に対する最終配当手続きを終了し、26日に熊本地裁で報告集会を開いた。深刻な社会問題を引き起こした無限連鎖講事件は、四半世紀もかかった被害者救済をもってようやく幕を閉じるが、配当率は34%だった。
管財人によると、被害者の確定債権総額は約222億3000万円。このうち今回の最終配当では総額約9億円が分配された。92年に故内村健一会長が所有していた不動産の売却益などを原資に約65億円を中間配当しており、最終配当率は約34%。「破産事件としては異例の高額配当」(管財人)となった。債権者が所在不明などで配当不可能な約1億8000万円(約1万4000件)は法務局に供託した。
最終的に破産財団の総収入約175億円のうち、約87億円が納税に回された。
会見した管財人の河津和明弁護士は「納税額が被害者への返還金を上回るという破産処理システムには疑問が残り(関係訴訟の)審理も長期化するなど無駄に時間と経費を費やした感は否めない」と語った。
管財人は破産宣告後、救済の原資に充てるため約30件の訴訟を起こしたが、一部が長期化。国や熊本県などを相手にした法人税などの返還訴訟が最後まで残っていたが、昨年7月に最高裁が「課税は有効」とする判決を言い渡したため、手続きを再開していた。【新里啓一】
▽天下一家の会・第一相研 故内村会長が67年に始めたねずみ講。「10万円が500万円に」などと宣伝して急成長したが、次々に破たんした。内村会長は72年、脱税容疑で熊本地検に逮捕され、最高裁で有罪が確定。被害は全国で約102万件約1900億円といわれ、79年に施行された無限連鎖講防止法成立のきっかけになった。
(毎日新聞) - 12月26日22時50分更新
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