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2005年12月22日(木) 00時00分

木村建設、手抜き工事か 異なる施工図 強度さらに弱く 東京新聞

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元一級建築士(48)が構造計算書を偽造した神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ藤沢」について、施工した木村建設(熊本県八代市、破産)が建設段階で作った施工図は、姉歯元建築士が作成した構造図よりも地震の揺れを吸収する「スリット」と呼ばれるすきまを減らしたり、配置場所を変えたりされていたことが二十一日、分かった。 

 専門家は「建物全体の耐震性に影響を及ぼしかねない」と指摘。姉歯元建築士の偽造に加えて、木村建設側が手抜き工事をした可能性が浮かんだことで、さらに強度が弱められていた疑いが強まった。

 この問題を追及していた下条みつ衆院議員(民主党)が入手した施工図などから判明した。

 スリットは、地震などの際に、柱と壁が押し合って、せん断破壊されるのを防ぐための遊び部分として設けるすきま。

 姉歯氏作成の構造図では、マンション一階の壁の二十カ所にスリットが入っているのに対し、施工図では半分の十カ所に入っているだけだった。配置もほとんど異なっていた。

 下条議員は今月十四日行われた国会の証人喚問で、木村建設の篠塚明・元東京支店長に構造図と施工図に食い違いがあることを指摘。篠塚元支店長は食い違いを認め「作図のミスがあったと聞いている」と答えた。

 木村建設側は後に書面で回答を寄せ、スリットについては触れず、施工図の鉄筋量が構造図よりも少ないとした上で「実際の鉄筋工事では、構造図に基づいて配筋している」と回答している。

 構造図と施工図とを見比べた構造設計の専門家は「施工図では、明らかに壁がもろくなる。現場での手抜き工事のやり方だ。簡単でコストも削減でき、工事費が安くなるが、壁にひび割れができる上、耐震性にも影響を及ぼしかねない」と話している。

 同マンションは耐震強度が基準のわずか15%しかなく、発覚した姉歯氏の偽装物件の中でも最低ラインだった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20051222/mng_____sei_____001.shtml