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2005年12月21日(水) 00時00分

『他の物件と条件違う』 補強求める声なお強く 東京新聞

 耐震強度偽装事件で二十日、警視庁などの合同捜査本部は夜間まで大がかりな捜索を続けた。そうした中、この日も被害住民たちは自主退去勧告、転居後の重い負担といった現実を突き付けられている。捜査に着手した警察当局に、住民たちは「事件の本質をはっきりさせて」と訴えた。 (大原啓介、小嶋麻友美、荒井六貴)

 十二日に耐震強度の偽装が発覚し、世田谷区が十九日に自主退去を勧告した分譲マンション「グランドステージ千歳烏山」(同区北烏山八、五階建て三十一戸)。発表からわずか一週間で解体の方向に道筋がついた形だが、住民からは「ほかの偽装物件と条件が違う点が多い」として、解体ではなく、耐震補強にとどめるよう求める声が強まっている。

 住民が耐震補強を望む根拠となっているのが、(1)建築主のヒューザー(千代田区)が再計算した耐震強度が0・62で、「震度5強で倒壊の恐れがある」とされる数値0・5を上回っている(2)二棟のうち一棟は、1・0を上回っている(3)ほかの偽装物件と比べて階数が少ない−ことだ。

 しかし、区が再計算した耐震強度は0・343。十九日の住民説明会で区は、「ヒューザーの再計算方法は、国交省の見解などに反した不適切なものだ」と理解を求めた。この計算方法の違いについてだけで、説明会の議論は二時間も続いた。

 しかし住民からは「ヒューザーの数字のほうがわれわれの今後のためになる」と、納得しない声も。また、「耐震強度が十分なほうの一棟は残せる」という主張も出たが、区は「階段やエレベーターは、もう一棟の側にしかない。二棟を切り離しては考えられない」と難色を示し、議論は平行線をたどった。このほか住民から「五階部分を削れば、耐震強度があがる」とする意見も出た。

 住民でつくる対策委員会委員の会社員男性(54)は二十日、「国のやり方に従うだけでなく、耐震補強で住めるようなアイデアを区も考えてほしい」と話した。

 また「だますよりだまされる方が悪い、とする風潮が広がっているのを感じる」と危機感をにじませ、「事件の本質をはっきりさせるためにも詐欺罪で立件してほしい」と捜査当局に求めた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20051221/lcl_____tko_____000.shtml