2005年12月20日(火) 03時07分
三菱ふそう子会社、トラック2千台超で不正車検(読売新聞)
三菱ふそうトラック・バスの子会社が、トラックの最大積載量を水増しするため、小型の燃料タンクを搭載して車両重量を軽くし、新車登録した後にタンクを大型化する手口で、組織的に車検を不正取得していたことが19日、国土交通省の調べでわかった。 車検を不正取得して販売されたトラックは、昨年までの3年間だけでも2000台を超す。国交省は、車検制度を形骸(けいがい)化させる悪質な行為として、同社に業務改善を命じるとともに、道路運送車両法違反容疑(不正車検)で警察当局に刑事告発する方針だ。
車検の不正取得を行っていたのは、三菱ふそうの100%子会社で、トラックの荷台部分などを製造する架装メーカー「パブコ」(本社・神奈川県海老名市)。主に三菱ふそう車の架装を手がけ、一部の役員や技術者は三菱ふそうなどから派遣されている。
トラックの最大積載量は、車検の際、トラックの大きさごとに法令で定められた車両総重量から燃料などを含む車両重量を差し引いて決める。
国交省の調べでは、パブコは、車両重量を抑えるため通常より小さな燃料タンクを搭載して車検を取得。その後、燃料タンクを増量する手口で、最大積載量を不正に水増ししていた。
例えば高速道路を長距離走行する大型トラックの場合、通常300〜600リットルの燃料タンクが必要だが、パブコでは200リットルの小さなタンクを搭載して車検を取得していた。中には600キロも積載量が水増しされていたケースもあった。
不正改造されていたのは、主に荷台にアルミ製の箱を積んだタイプで、水増しはユーザーの要望で行われていたケースも多かったという。
パブコは、三菱ふそうによる一連の「欠陥隠し」問題が発覚した昨年、車検の不正取得を中止した。しかし過去3年だけで2000台を超す不正改造車が出回り、現在も使用されている可能性が高い。
過積載の状態では、ブレーキの利きが悪化するなど走行安定性が損なわれるほか、設計強度以上の負荷が車体にかかり、重要部品が破損して事故につながる恐れがある。
近年は過積載の取り締まりが強化され、ドライバーだけではなく、運送業者や荷主も道路交通法違反に問われるケースが多い。このため最大積載量水増しは、トラックの購入者側にもメリットがあったと見られている。
国交省は、不正改造が行われたトラックのユーザーを早急に割り出し、車検証の最大積載量変更の手続きを取るよう指導する。
パブコは、「国交省の調査を受けて報告書を提出した。問題点を指摘された後に今後の対応を考える」とコメント。三菱ふそうは「事実関係を調査した上で対応したい」としている。
(読売新聞) - 12月20日3時7分更新
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