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「ホントに頭がいい。それにものすごくきちんとしている」。興奮気味にそう話すのは、関東地方の中堅ゼネコン経営者。
内河氏は、建築会社の経営者を対象にセミナーを主催。“信者”となった経営者を対象に、「海外の建築を学ぶ」と称し、カナダをはじめ国外や国内のツアーを繰り返していた。
「ツアーのバスの中では疲れて眠る人も多いが、内河氏が寝ているのを見たことがない。南の国に視察に行ったとき、ある名の知れた中堅ゼネコンの社長がアロハを着てきたら、内河氏は『何を考えている!!』と怒鳴りつけた。視察先の企業は仕事をしているのに、ネクタイ着用は当たり前、ということだった」(前出の経営)
内河氏のセミナーに初めて参加したのは10年ほど前。「建築費は従来の半分。素人でもできる」と内河氏が11年前にカナダから“輸入”した「A工法」を学んだ。
「日本の建築行政は無意味な規制があまりに多く、世界基準から見ると建築費が高い。強引なことも言うが、建築業界を変えようという意気込みを感じた。多くの人が、強い意思に魅力を感じたのではないか」。ここ数年はつきあいがないが、今も内河氏を「先生」と呼んでいる。
内河氏は昭和8年生まれ。その出自には、不明な部分もある。著書などのプロフィルには「関西大学経済学部出身」とあるが、紳士録によれば、実際には昭和29年、同大学短期大学部商工経営科を卒業。“自己申告”では、23歳で「総研」の前身の「内河経営コンサルタント」を開業。昭和44年に宮崎のビジネスホテル開業にかかわったのを皮切りに、ホテル事業を主軸に据えた。
カリスマにしては著作の少ない内河氏だが、昭和60年には『建設業経営、革新の発想』(都市文化社)という書籍を出版している。だが、この頃は、「公共事業に幻想を持つな」と呼びかけている程度で、特に斬新さは感じられない。
市場調査から設計、建築、備品の納入、社員教育まで請け負い、土地があれば「自己資金不要」「すべて借金してもお金が残る」「高利回り」(同社HP)という現在の夢のようなビジネスモデル誕生のきっかけは、海外に目を向けたことのようだ。
その手始めが、平成6年に導入した前述の「A工法」だった。「新工法」として木村建設(熊本、破産)に短期間、コストカットでマンションを建てさせ、建築業界に“殴りこみ”をかけた。
以来、英国などにも活躍の場を拡大。国内に「信者」を増やし、資材調達を一手に引き受けた。特にタイには足しげく通い、今では「エリザベス女王のパーティーに呼ばれた」「タイの皇太子と面識がある」と吹聴するようになった。
もうひとつの魅力は、華麗で幅広い人脈だろう。総研の株式の49%を保有する筆頭株主に、「朝倉育英会」という財団法人がある。この事務所は、著作が多く、新聞などにもしばしば登場する売れっ子税理士の事務所内にある。また、木村建設同様に都内に点在する「総研ビル」に入居する団体の役員には、与党の代議士の親族も名を連ねる。ある建築業界関係者は「歴代タイ大使らとも面識があったようだ」と話す。
だが、こんな証言もある。「ホテルの経営者へのセミナーは、1に立地、2に立地、3、4がなくて、5に立地という感じで新味もなく、資料はゴミ箱に捨ててしまった」(耐震偽造で休止中のホテルの関係者)。
偽装問題発覚後は高齢と重圧で体調を崩しているという割には14日、元気な姿を見せたが、もはやその神通力も、薄れていたということか。
ZAKZAK 2005/12/15