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この日、原告や支援者らは地裁周辺でデモ行進し、集会も開いた。原告や代理人弁護士らは「生存権を守るためのやむにやまれぬ戦いだ」「福祉の切り捨てが老人や母子家庭など声を上げにくい人たちから進められていくのは許せない」などと口々に訴えた。
三十二人の原告のうち三十人は老齢加算の減額が対象で、年齢は七十一−八十二歳。その他の四十歳代の女性二人は母子加算などの減額を対象にしている。
厚生労働省が老齢加算や母子加算などを段階的に減額、廃止する方針を打ち出し、昨年四月から減額処分が実際に行われている。
物価は都会ほど高い傾向があるので、生活保護費は全国の地域が一級地、二級地などと区分されて設定されている。
老齢加算は七十歳以上の生活保護受給者が対象で、広島市や東京都、名古屋市などの一級地では二〇〇三年度までは一万七千九百三十円だった。〇六年度からはゼロになる見込みだ。(表参照)
生活保護費には生活扶助、住宅扶助、教育扶助などがある。広島市の場合は現在、一人暮らしの高齢者の住宅扶助の上限額は一カ月四万二千円。
一方、毎月の家計の柱となる生活扶助は老齢加算を除くと一カ月七万五千五百五十円(冬季加算含む)だ。〇三年度まではこれに約一万八千円がプラスされていた。生活扶助は老齢加算の廃止で二割ほど減らされる計算になる。
当然、受給者の生活への影響は大きい。集団提訴の原告団長の加藤清司さん(79)は「リウマチを患っているので、手足が伸ばせる銭湯に通っている。月に十回行くとバス代などと合わせ五千円ほどかかる。食費は節約に努めて一日七百円ぐらい。こうした生活なので、老齢加算の廃止はすごくこたえる」と話す。
集会では他の原告らが「年を取ると、知り合いで死ぬ人が多くなる。その慶弔費が出しにくくなってしまった」とも訴えていた。
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老齢加算や母子加算の減額・廃止の背景には、国や自治体の厳しい財政事情や生活保護受給者の急増がある。厚生労働省が老齢加算の廃止で使った論理は「一般の低所得の高齢者世帯の消費支出額は六十歳代より七十歳以上の方が少ない」といったものだ。
一般国民にも「生活保護費が国民年金よりも多いのはおかしい」といった声は少なくない。
集団提訴の原告らの立場は厳しいが、憲法25条の生存権保障を強調して戦っていく姿勢だ。25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」というくだりだ。
老齢加算の減額処分の取り消しなどを求める訴訟は、今年四月に京都府の男性が初めて起こし、提訴ずみの原告は広島県以外では京都府二人、秋田県二人となっている。今後、新潟県や福岡県でも提訴される見通しだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20051215/ftu_____kur_____000.shtml