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神奈川県川崎市のあるマンション。住民有志が「とりあえず構造計算書だけでも見てみよう」と提案、それをきっかけに管理組合の理事会が動きだした。しかし、作業はすぐに壁にぶち当たった。組合では保管していないことが分かったからだ。
管理会社に問い合わせたが、「耐震調査にはお金がかかりますよ」などと脅しにも似たことを言うばかりで、らちが明かない。現在、売り主と交渉中という。
このマンションの場合、売り主は大手の業者。耐震偽装がこれだけ騒がれている今、「計算書を出し渋るようなことはないだろう」と住民たちはみる。
ただ、住民の一人は「手に入ったら入ったで、その後、安全を確認するためにどこでどうしたらいいのか。費用も気になる。結局、自分たちで何から何までやらなければならないので作業が大変だし、疲れる」などといらだちを隠さない。
不動産の個人向け民間コンサルティング会社「さくら事務所」東京本社(東京都中央区)にも、マンションの耐震性への不安から相談を求める電話が相次いでいる。
中には「『耐震強度を調べるべきだ』という住民と、『必要ない』という住民とが対立して困っている」と、マンションの管理組合内のトラブル解決を求める電話もあるという。
同事務所の長嶋修会長は「偽装物件なんてそうあるものじゃない。まずは落ち着くように呼び掛けているんですが…」と語る。その上で、「どうしても不安なら、まずは管理組合で十分に話し合って専門家に相談を」という。
マンションによっては、構造計算書や平面図などの竣工(しゅんこう)図書も紛失したというケースも多いだろう。しかし、マンションの耐震性の強化について提言を続けているNPO法人建築技術支援協会によると、たとえなくても、時間とお金がかかるものの、調査は可能という。
同協会では、耐震基準が大幅に強化された一九八一年以前に建てられたマンションについては、特に耐震診断を勧めている。それらの建物は、震度6以上の地震を想定していない場合があるからだ。
なお、八一年以前の建物の耐震補強工事をする場合には、自治体から補助金が出されるところが多いので確認してみた方がよさそうだ。
耐震構造に詳しい東工大の和田章教授は「古い建物の中には問題となっている姉歯(秀次)元建築士の建物より危険なものもある」と指摘する。
一般に、柱よりも壁の方が耐震性に優れており、同教授は「壁が少ない古い建物はぜひ耐震性をチェックすべき」と忠告している。
専門家による目視調査や、柱や壁、鉄筋の量などを調査する簡易な予備診断から始めるとよいという。また、強度不十分と診断された場合の耐震補強には、鋼材フレームなど、建物への揺れの伝わりを小さく抑える制震(振)装置で外壁を補強する方法などがある。
「いたずらに不安がる必要はないが、この機会に簡単な目視調査ぐらいは受けておくというのも手でしょう」とアドバイスしている。
●主な相談・問い合わせ窓口
・日本建築構造技術者協会
http://www.jsca.or.jp/
・日本建築防災協会
http://www.kenchiku-bosai.or.jp
・NPO法人建築技術支援協会
http://www.psats.or.jp/
・(株)さくら事務所
http://www.sakurajimusyo.com
・マンション管理センター
http://www.mankan.or.jp/
・住宅リフォーム・紛争処理支援センター
(電)03・3556・5147
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20051213/ftu_____kur_____000.shtml