2005年12月12日(月) 00時00分
吉野家の牛丼、限定再開へ スーパー慎重姿勢崩さず (東京新聞)
政府が12日、米国産牛肉の輸入を解禁したのを受け、牛丼の吉野家ディー・アンド・シーなど外食業界が販売再開の準備に入った。大手スーパーなどは「安全・安心を第一にする消費者がどう受け止めるかが最大の問題」(イトーヨーカ堂)としており、慎重姿勢が目立っている。
吉野家は商社を介して米国のパッカー(食肉加工会社)との交渉を開始。手続きや船での輸送に「1カ月半から2カ月程度かかる」としており、早ければ来年1月中にも牛丼が「復活」する見通し。ただ当初は確保できる量が限られるため、期間限定もしくは時間限定での提供になるという。
仙台市の牛タン店も「確保できる量は輸入禁止前の5%と聞いているがゼロよりはよい」(大川原潔・仙台牛たん振興会会長)と歓迎する。ただ牛タン店の店長は「値段がどうなるのか。末端の店にいつ届くのか」と不安げに話していた。
一方、スーパーなどは安全性に対する消費者の不安がぬぐえないのを懸念、販売再開は「当面、様子を見たい」(イオン)というのがほとんど。
消費者の安全志向の高まりから、国産牛ではトレーサビリティー(生産履歴)システムが導入されており、業界関係者は消費者の厳しい目を意識している。牛丼の「すき家」を運営するゼンショーは「使いたいが今は使えない」としている。
豪州産牛肉が定着したという事情もある。「輸入は現在100%豪州産。米国産を急ぐ必要性はない」(西友)「豪州産の方が安い」(ユニー)との指摘もあり、価格競争力を取り戻すことも、米国産の復活への課題となりそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20051212/fls_____detail__080.shtml