2005年12月11日(日) 02時29分
塾の雇用実態は不透明 文科省管轄外(産経新聞)
乱立、講師の質低下も
子供にとって、塾が学校以上に重要な場所になり、大人になってから、小学校の教師よりも、塾の先生の方が印象に残る人が年々、増えているという。
総務省の統計によれば、学習塾は全国に四万七千ほどあるが、その実態は不明だ。受験指導を看板に各地に系列校を作る塾もあれば、自宅を使った個人指導を重視する塾、不登校の児童生徒の学習支援を行う塾もある。形態も会社にするのが通常だが、NPOのような法人格のケースもある。
関東地方の進学塾関係者は「最近は大教室タイプより、講師一人に生徒一、二人で、きめ細かい指導ができる個別タイプに人気がある。そうなると大勢の講師が必要になるので、塾によっては講師の質が低下していることも可能性としては考えられる」と話す。
「とくにいまの時期は受験を目前に控えているだけに志望校をめぐるトラブルもある」(関係者)。この関係者の塾では塾生とのトラブルはご法度。トラブルを起こした講師には辞めてもらっている。
ゆとり教育が進むなか、塾に通う子供は増え、平成十四年の文部科学省の調査で小学六年生の通塾率は35・6%。内閣府が今年十月に発表したアンケート調査によると、保護者の七割が学力向上の面で「学校より学習塾や予備校の方が優れている」と回答した。
その一方で、文相の諮問機関である生涯学習審議会は平成十一年、塾を民間教育事業の一つとして“認知”した。だが、文部科学省として管轄外であることには変わらない。経済産業省が塾を産業政策という目線で所管している。
民間信用調査機関によると、事件の現場となった京進は急成長を続け、平成十七年二月期の売上高は九十七億九千五百万円。今期は四十一校の新設を予定している。
京進も加盟する経産相認可の業界団体「全国学習塾協会」(東京)の石井正純会長は「塾を信頼してお子さんを預けてくださっている親御さんに申し訳ない」と陳謝し、「なぜ、前科のある者が採用されたのか。犯人と子供のトラブルに気付かなかったのか。子供の安全が守れなかったのか。業界として早急に対応を協議したい」と語る。
業界関係者からは「さすがに生徒を殺す事件は今回初めてだが、これまでだって塾講師の犯罪は多かったし、それはすべて雇用者の責任だ」との声も聞かれる。
(産経新聞) - 12月11日2時29分更新
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