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【決済不能】
みずほ証券は誤注文が約定した8日から4営業日(12月13日)に株券を買い手に渡さなくてはいけないが、発行済み株式数を大幅に上回る売りを出しており、このままでは受け渡し不能になるのは必至の情勢だ。
8日の市場の売買動向からみて、同証券の61万株の誤注文のうち同日中に買い戻せた株式は最大でも56万株程度にとどまり、今後少なくとも4万株以上を買い戻す必要がある。
同証券によると、誤発注に気付き、初めて買いを入れたのは同日午前9時37分で、46万7000株余りの取引が成立した。同証券はその後、市場で買い増したとしているが、これ以降の出来高は約9万7000株。すべてを同証券が買い戻したとして仮定しても、最初の取引と合わせて56万4000株程度で、誤って出した売り注文61万株との差は約4万6000株となる。
誤発注を受けて会見を開いた東証。9日はジェイコム株の取引を終日停止とした=9日午前2時10分 これはあくまで8日に成立した取引がすべて同証券の売買だったと仮定してはじき出した数字。当然、同証券以外の投資家からの注文も入っているわけで、市場には「みずほ証券はあと10万株近くを買い戻さなくてはいけないようだ」(準大手証券関係者)との情報もある。
この情報通りだとすると、ジェイコムの発行済み株式総数の6−7倍程度に当たり、「問題解決までには厳しい状況が続く」(市場関係者)との見方が根強い。
【財務ダメージ】
みずほ証券の取引システムでは、実勢価格から大幅にかけ離れた価格での注文や、発行済み株式数を上回るような注文には通常画面に警告が出るが、担当者はそれを見落として誤発注した。その代償は極めて大きい。
同証券の福田真社長は8日夜の会見で、決済に絡む損失が少なくとも270億円、今後、場合によっては300億円程度まで膨らむとの見通しを説明した。「経営への影響はない」としたが、みずほ証券の平成17年3月期の純利益280億円がそっくり吹き飛ぶほどの損失で、財務的なダメージは大きい。
持ち株会社のみずほフィナンシャルグループは深刻な事態を受け、「全面的に支援する」とコメントを発表。金融機関の資金決済をみている日銀も「資金決済に今後、悪影響を及ぼさないか注視する」としており、“万が一の事態”に備えている。
【戦略への影響】
みずほ証券は平成12年10月に旧興銀、旧富士、旧第一勧業の3証券が合併して発足した。
銀行系証券のなかで株式業務では高い収益力を誇り、証券の発行引き受けや、企業の合併・買収(M&A)の仲介などに強みを持つ。社員数約1500人のうち、外資系や国内大手からのヘッドハンティング組が多いが、「幅を利かせているのは、旧興銀出身のエリート」(関係者)とされる。
業績好調でみずほフィナンシャルグループが投資銀行業務を重視して攻勢をかけるなか、前代未聞のうっかりミスの影響は大きい。
しかも、誤発注の事実を即時開示せず、株主のみずほコーポ銀行と農林中金にだけ優先的に連絡していたことは、市場参加者にあるまじき行為で、イメージの大幅悪化は避けられそうにない。
ZAKZAK 2005/12/09