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2005年12月08日(木) 03時01分

揺らぐ松下ブランド 温風機CO中毒、遅れた対応 年末商戦に影響も産経新聞

 石油温風機の欠陥によって相次いだ一酸化炭素(CO)中毒事故の再発防止に向けて、一台五万円を支払って問題機種を買い取る対策に乗り出した松下電器産業。六日夕から七日午前十一時までの問い合わせ件数は二千百件に上った。しかし、すでに死傷者は十人に達し、対策が後手に回った印象はぬぐいようがない。テレビCMを十日間にわたって「おわびとお知らせ」に切り替えるため、今後は年末商戦への悪影響も懸念され、信頼回復は容易ではない。(藤原章裕)
 ■修理後も事故
 福島県で最初の死亡事故が発生したのは今年一月五日だった。ゴムホースの老朽化などで不完全燃焼を起こし、それが原因でCO中毒を引き起こしたのだ。この事故を松下が公表したのは約三カ月半後の四月下旬。
 松下のコーポレートコミュニケーション(広報)本部は、「それまで大きな事故はまったく報告されておらず、原因究明に重きを置いた」と公表までに時間がかかった理由を説明するが、この間に、長野県内では二件の事故が発生した。
 松下は公表に合わせて、ゴムホースを銅製のパイプに交換する修理に乗り出した。ところが、十一月二十一日には、長野県で新たな死亡事故が発生。十二月二日には修理済みの温風機が重体事故を引き起こしたことで、一から対策を見直さざるをえなくなった。
 該当する石油温風機計十五万二千台のうち、いまなお九万四千台の所在は分かっていない。六日、大阪市内で会見した松下の戸田一雄副社長は「振り返れば、遅きに失したといわれても仕方がない」と謝罪し、対策の遅さを認めた。
 ■対応に200億円
 デジタル家電の「勝ち組」とされる松下だが、企業の社会的責任(CSR)が厳しく問われる中でブランドイメージは大きく揺らぎかねない。
 松下が今回乗り出した対策は、二十−十三年前に十万円前後で発売した石油温風機を五万円で買い取る異例のものだ。約一千人の社員を動員して石油販売店で注意喚起のチラシを配るローラー作戦を展開するほか、十日から十九日まで全国枠で予定していた計七十七時間半のテレビCMを、すべて「おわびとお知らせ」に切り替える。
 松下は一連の対策費として二百億円弱を見込んでいる。ただ、こうした大規模な対策を最初から打ち出していれば、その後の犠牲者は出さずに済んだ可能性がある。対策費はもう少し軽く済んだかもしれない。
 ■株価も下落
 市場の評価は厳しく、七日の松下電器株の終値は二三四五円。六、七日の二日で一三五円も下落した。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の長尾房子アナリストは「二百億円といわれる対策費に関しては、松下の利益水準からみれば吸収は可能だ。しかし、テレビCMの中断やイメージ低下が、他の製品の売り上げや業績に波及すれば、格付けに影響する可能性もある」としている。
     ◇
 松下の問い合わせ窓口は、フリーダイヤル0120・872・773。
(産経新聞) - 12月8日3時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051208-00000002-san-bus_all