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■必要な資料は?
建物構造を調べるには、構造計算書や竣工(しゅんこう)図などが必要だ。構造計算書は、建物を構成する部材が重力や地震などに対して安全かどうかを確認した書類。二〇〇一年施行のマンション管理適正化推進法では、管理組合に渡すことが義務づけられている。ない場合は売り主に提出してもらう。それ以前の建物の場合、確認申請関係の書類は検査機関と建築主の手元に正副一冊ずつある。分譲会社や設計者などが控えを保管しているはずなので問い合わせを。
■誰に依頼するか
分譲マンションなら、住民でつくる管理組合が、構造設計に詳しい建築士に調査してもらう。
日本建築構造技術者協会の橋村一彦中部支部長によると、一級建築士は現在全国に約二十七万人いるが、意匠、構造、設備などに細分化しており、構造の専門は一万人程度。同協会はホームページで各地の会員を紹介している。建築士事務所協会や、建築士や弁護士らでつくる欠陥住宅被害全国ネットもある。行政に問い合わせる手も。
■調査方法と費用
構造計算書と構造設計図の整合性を確かめたり、実際に計算式に数値を入れて、柱などの強度を細かく計算する方法がある。
本格的な構造計算のやり直しは、百戸ぐらいの中規模のマンションで五十万−八十万円が目安という。作業はふつう一−二週間はかかる。
図面と計算書をもとにした簡易な調査なら数万円程度でも可能だが、「数値を入れた計算をしなければ、ケアレスミス程度はチェックできても、巧妙な偽造は見破れない」という見方もある。
■強度は大丈夫?
書類での調査とは別に、直接強度をチェックする方法は有効だ。
強度は、建物のコンクリートをくり抜いて測定したり、コンクリにひび割れがある場合には中性化の有無を調べる方法がある。両方で数十万円かかる。欠陥住宅被害東海ネット会員で構造設計専門の一級建築士長沼利三さん(岐阜県瑞浪市)は「書面通りに工事が行われているか現場で調査する方が、より安全性を確認することができる」と指摘する。
また、一九八一年(建築基準法改正)以前の旧基準の建物は、耐震診断をし、必要なら補強することが望ましい。
■購入予定の人は
「華美な仕上げなどに惑わされず、地盤や基礎工事の内容も把握してほしい」と橋村さん。
実績があり、信用を重んじる売り主や設計者を選ぶのも一つの手。構造設計に詳しい専門家に同行依頼し、関係資料に目を通してもらうといい。
住宅性能表示制度を利用した物件かどうかも、一つの目安。耐震性は建築基準法を満たしていれば等級「1」、基準の一・二五倍の強度があれば「2」、一・五倍なら「3」と格付けしている。
中古の場合は八一年以降の建設かどうかをまず把握したい。
■消費者として
業界には、購入者の目につきやすい内装は質を落としにくい半面、構造設計は「安全を大前提に、経済的な建物が常に求められる」という現状があるという。
「技術開発や工夫で削減できる以上の、行き過ぎた安さと経済性をはき違えないでほしい」と橋村さんは話す。その上で、耐震性能に疑問があればどんどん業者らに尋ねるべきだ。「一般ユーザーからの追及は開発者への刺激になり、建物の出来自体も変わります」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20051208/ftu_____kur_____000.shtml