2005年12月02日(金) 00時00分

“安全宣言”が一転… 怒り募らせる住民 （東京新聞）

　「やはり耐震強度が不足していた」。構造計算書のデータ改ざんが判明していた川口市原町のマンション「グランドステージ川口」が、震度５強で倒壊する恐れがあることが一日、民間の指定確認検査機関「日本ＥＲＩ」（東京都港区）の再計算の結果分かった。川口市は市営住宅の受け入れ準備などを検討し始めた。　（安藤　恭子）

　市によると、日本ＥＲＩの部長クラスが一日夕、再計算された構造計算書を持って川口市役所を訪れ、謝罪したという。日本ＥＲＩは市の問い合わせに対して、いったんは「偽造はなかった」との報告。これを受け、市も「問題はない」と発表していた。日本ＥＲＩはその後、姉歯建築設計事務所が関与した物件の構造計算をやり直し、十一月三十日になって「データの改ざんはあった」と訂正していた。市は日本ＥＲＩの報告を信じていたという。

　日本ＥＲＩの説明では、マンションは建築基準法に定める耐震の基準値「一・〇」に対し「〇・五六」しかなかったという。これは震度５強の地震で倒壊の恐れがあることを示す数値という。

　市ではマンションの使用停止措置については、再計算の中身をさらに精査して判断するとしている。林直人都市計画部長は「構造計算書と図面を見た限りは、柱脚の鉄筋やコンクリートの強度が、構造計算書（の数値）よりも図面では少ない」と説明した。

　市では日本ＥＲＩと建築主の「ヒューザー」（東京都千代田区）に対し、三日午後にも住民説明会を開くよう要請。県にも協力を求め、移転を望む住民に対しては公営住宅を無償で提供するとしている。岡村幸四郎市長は「あってはならないことが現実となり、非常に腹立たしい。いったん安堵（あんど）したのに、これまでの日本ＥＲＩの対応は極めて遺憾」と話した。

　マンションの住人の一人は「信用はできなかったが、いったん大丈夫と言われて安心していたのに。ころころ変わるのはどうしてなのか。移り住むことを考えないといけない」と怒りをぶつけていた。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20051202/lcl_____stm_____000.shtml