2005年11月30日(水) 00時11分
松下電器の石油温風機に重大欠陥、国が回収など命令(読売新聞)
松下電器産業が製造した石油温風機から一酸化炭素が漏れ出す重大な欠陥があるとして、経済産業省は29日、同社に対し、販売済み製品の回収や修理を行うよう緊急命令を出した。
対象となった製品は25種で、今年に入って4件の事故が起き、2人が中毒症状で死亡、2人が重体となっている。命令は消費生活用製品安全法に基づくもので、1974年の法施行以来初めて。
経産省によると、25種の内訳は▽85〜92年製造のFF(強制給排気)式石油温風機19種▽89〜91年製造の石油フラットラジアントヒーター6種。販売台数は計約15万2000台に上り、山形県、北海道、青森、岩手県内が多いという。
いずれも室内の壁に固定し、屋外の給気口から空気を取り入れて灯油を燃やす構造。給気口からつながるゴム製のホース(内径2センチ)に亀裂が生じ、不完全燃焼を起こした場合には一酸化炭素が室内に漏れ出る恐れがあるという。
今年1月、福島県内のペンションで一酸化炭素が漏れ出す事故があり、宿泊客の男児(12)が死亡し、父親は現在も意識不明の重体。2月と4月には、長野県内で2件の事故があり、計5人が入院するなどした。
同社は4月、こうした事実を公表し、25種のリコールを開始したものの、今月21日、長野県上田市で再び事故が起き、就寝中だった中学校教諭の女性(52)が死亡、夫の小学校教頭(56)も重体となっている。
販売から年数がたち、販売店に顧客リストが残っていないことなどから、リコールによる点検済みの台数は、販売台数の約36%にあたる約5万5000台にとどまっているが、このうち16%のホースには穴が開いていた。このため、経産省は「対策が不十分。本格的なシーズンを前に、さらに強い措置を取る必要がある」として、緊急命令を出すことを決めた。
経産省は同社に対し、製品の回収や修理のほか、購入者への周知をより効果的に行うよう命令し、その実施計画を来月6日までに提出するよう求めた。
大阪市内で記者会見した松下電器の林義孝専務は「修理・点検に総力を挙げてきたが、対応に甘さがあったかもしれない」などと陳謝した。同社は、今後、灯油を販売するガソリンスタンドなどで注意を呼びかけるほか、販売店などを通じて購入者を特定するなど再発防止を急ぐとしている。
問い合わせのフリーダイヤルは0120・872・773。
(読売新聞) - 11月30日0時11分更新
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