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国土交通省によると、このマニュアルは、全国の自治体や民間の検査機関でつくる「日本建築行政会議」が当時の建設省監修の下、まとめたマニュアルで、正式名称は「建築構造審査要領」(一九九九年版)。耐震設計に関する留意点や中間検査の実務の流れなど、審査の手引がA4判、百数十ページにわたって記述されている。
同省担当者によると、巻末に「コンピューターにより構造計算を行う建築物の確認申請書の添付図書の省略について」という八一年の通達や九五年の事務連絡の題名が書かれている程度で、電算プログラムの具体的な記述がないという。現在作業中の改訂版には記載される予定という。
今回の問題は、姉歯建築士が建物にかかる外力の数値を改ざんした構造計算書を国交相認定の電算プログラムで作ったのが発端だが、民間検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が偽造を見抜けなかった。自治体による審査もすり抜けた。
国交相認定の電算プログラムを使った計算書を審査する場合、大臣認定書の写しなどが添付されていれば、検査機関は膨大な計算過程の審査を省けるが、姉歯建築士の計算書にはこれが添付されておらず、計算過程を審査する必要があった。
国交省の立ち入り検査に、イー社は「計算過程も審査したが見落とした」という趣旨の弁明をしたというが、同省は「認定書などがないのに、イー社が計算過程の審査を省略したために偽造を見逃した」とみている。
国交省の調査で、認定書の添付などの確認をしていない民間検査機関がほかにも多いことが判明。計算過程の審査を省略できる制度やそれに必要な審査項目を、自治体や検査機関に徹底すれば偽造防止に役立つとみて啓発する方針だ。
全国の審査機関が実務の手本とする建築構造審査要領から、関係する記述が抜け落ちていたことに同省幹部は渋い表情だが、監修した国の意識にも“抜かり”があったのではとの指摘も出そうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051129/eve_____sya_____001.shtml