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一連の偽造データ問題をうけ、国土交通省が相談窓口に指定している社団法人「日本建築構造技術者協会」(東京)などには連日、全国各地のマンションの住民や開発業者から「うちのマンションも心配。どうすればいいのか」「構造計算書を見てくれないか」といった問い合わせや依頼が殺到。職員は対応に追われている。
建築物が地震の揺れに耐えられるかを試算した構造計算書は平成13年の「マンション管理適正化推進法」の施行で、業者が管理組合に渡すことが義務づけられるようになった。住民は管理組合に申し出れば、内容を確認することができる。
記載されたデータに偽りがないかは、建物の状況を記した竣工図と照らし合わせればわかるが、計算書は200−300ページもの分量があるうえ、わかりづらいアルファベットや数字が記載されており、専門知識のない一般人はまず解読できない代物だ。
このため、データ検証のためには、お金を支払ってでも、専門家に計画書の再計算をしてもらうのが得策だ。日本建築構造技術者協会では、マンションの場合、平均で約75万円かかるという。
これに加え、耐震診断を行うとなれば、さらなる出費をしなければならない。建物の規模によって異なるが、本格的な診断であれば、「100万円を超えることだってあり得る」(都内在住の1級建築士)という。
ただし、一目でマンションの構造上の欠陥を見分ける方法もないわけではない。「危ないマンションを見抜く方法」の著者で、建設コンサルタントの染谷秀人氏が具体例をこう示す。
「最もわかりやすいのは、ベランダのクラック(ひび割れ)です。髪の毛程度の非常に細い幅の『ヘアークラック』ならまだ大丈夫。1ミリ以上の太い幅になると、『かなり危険』と思った方がいい」
一方、これからマンションを買う場合はどうすればいいのか。多くの専門家が有効な手段の一つとして挙げるのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて平成12年にスタートした「住宅性能表示制度」の活用だ。
この制度は、マンションなどの新築物件を、耐震、耐火、消音性など約30項目について、国が指定した民間業者や財団法人などの第三者機関が設計と施工の段階でそれぞれ調査。項目ごとで等級を示し、その数字が大きくなるほど性能がよいとされ、物件には「性能評価書」が交付される。
だが、制度を利用し、評価を受けるかどうかはあくまで施工・販売会社の判断に委ねられる。平成16年度の全国の新築着工物件のうち、制度を利用したのは、わずか13.4%にとどまった。
利用率がなかなか上がらない理由について、住宅性能評価機関等連絡協議会は「手数料や厳しいチェックなどに対する抵抗がメーカー側にあるからなのではないか」と分析している。
前出の染谷氏はマンション選びを、わかりやすくアドバイスする。
「鉄筋コンクリートを示す『RC』、鉄骨鉄筋コンクリートを示す『SRC』という記号が広告によく出てくるが、8階建て以上であれば、SRCを選んだ方が安全と理解した方がいい」
メーカーについても、「請負方式を採る大手ゼネコンより、設計・施工が一貫している地元の古くからの建築会社の方が、多少費用がかかってしまっても、メンテナンスがしっかりしているというメリットがある」という。
ZAKZAK 2005/11/28