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2005年11月25日(金) 00時00分

「姉歯」関与 平塚市が建築確認ホテル側から説明を受け、別のホテルに移動するツアー客ら=24日午後9時47分、平塚市明石町のパークイン平塚で朝日新聞・

  千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所が平塚市明石町のホテル「パークイン平塚」の構造計算をした問題で、市は24日午後8時過ぎから緊急に記者会見し、大蔵律子市長が「(構造計算の)数値が改ざんされた可能性が高い」と述べた。民間でなく行政が建築確認をした建物に強度不足の見落としが発覚した全国初のケース。市長は「分厚い書類のため、ソフトの評定書を信用した」と計算した業者の責任を強調した。

(海老沢潔)


  構造計算は22日から職員が国土交通省認定のコンピューターソフトを使って行った。構造計算の2カ所で改ざんの個所があったという。「倒壊する震度は現在のところ分からない」としている。

  市によると、今回の構造計算の改ざんは、コンピューターで打ち出された厚さ10センチにものぼる計算書の一部を業者が抜き出して書き直していた疑いが強いという。「柱の鉄筋量が少ないため、耐力が減少していると考えられる。ソフトが打ち出した計算書のため細部については点検していない」という。

  ◇

  構造計算書の偽装の可能性が指摘されたことを受け、「パークイン平塚」は24日から営業を自粛、同日の宿泊客96人に対して、系列の厚木市内のホテルへの移動を要請した。客らはロビーでホテル側から説明を受け、タクシーやバスで移動を始めた。

  現在、倒壊の危険性があるかどうかははっきりしていないが、ホテル側は「安全性が確認できるまで、営業は再開しない」としている。24日の宿泊客については、宿泊料金を返却したという。

  長野県から出張で同僚と来た会社員の男性(32)は「チェックインした後、外に食事に出てホテルに戻ったら従業員から『姉歯建築設計事務所がかかわっていたので移動して下さい』と言われた。あまりにも突然すぎてびっくりしているが、何かあってからでは遅いのでしょうがない」と話した。



  
  確認の甘さ認める 偽造見落とし民間検査機関

  首都圏のマンションなどで耐震強度に関する書類が偽造されていた問題で、国交省から強度不足とされたマンション1棟の建築確認をし偽造を見落としていた横浜市鶴見区の指定確認検査機関「東日本住宅評価センター」の幹部が朝日新聞の取材に対し、「社員の経験や感覚に頼り確認作業をしていた」などと、社内の建築確認の検査の実情を話した。「あら探し的な確認作業をしていたわけではなかった」と検査態勢の甘さも認めた。

(石原孝)


  センターは1月、千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所によって改ざんされた構造計算書をもとに、千葉県船橋市の「グランドステージ船橋海神」(11階建て、工事中)の建築確認を行った。しかし、本来耐震基準を満たしていれば構造計算書に記載されているはずの「認定番号」の有無などを担当者が知らなかったため、構造計算書が偽造されているのを発見できなかった。「震度5弱ほどで倒壊する恐れがある」とされた。

  金森巖・マンション事業部長によると、センターのマンション部門の建築確認業務は、構造計算書と図面に書かれた鉄筋の本数などを照らし合わせて確認する。資格を持った確認検査員が行うが、ほかの機関から採用した経験者が主だった。

  口頭では、会社側は検査をする社員に一般的な意味で、注意してやるようにという指示を出していた。しかし、「認定番号」が無いことが問題という認識がなかったため、この部分に関する指示を出したことはなかったという。「認定番号の有無についての知識があれば、偽造は発見できたかもしれない」という。

  一方で、「すべての項目を厳しく確認することが困難だった」とも話した。確認の手順などをまとめたマニュアルなどの文書は作っていなかった。

  今回の問題を受け、センターはこれまでに建築確認した「姉歯」物件を含むすべてのマンションや一般住宅などを再度建築確認している。どれほどの数があるかも確認できておらず、ほかに強度不足の物件があったかどうかについては「あるともないとも言えない状態」という。




  建設中の1棟 木村建設施工 厚木

  姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が構造設計に関与したとされる厚木市内の4棟のうち、1棟は市中心街に建設中のビジネスホテルで、木村建設(熊本県八代市)の施工であることが分かった。

  市や不動産登記簿によると、この建設予定地は5月23日に統合されるまで大手都銀の支店だった土地で、広さは786平方メートル。5月10日に大手都銀から東京都内の会社に売却された。周囲に施工会社名などを確認するものはなく、現在は工事が止まっている。

  一方、市建築指導課には23、24の両日、「どこのマンションか」など計13件の問い合わせがあり、同課は「現在調査中のため答えられない」と回答しているという。




  ヒューザーと姉歯が関与 川崎市で他に2棟も

  川崎市の阿部孝夫市長は24日、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が構造計算などに関与した市内のマンション5棟のうち、倒壊の恐れが指摘された川崎区の「グランドステージ川崎大師」を含む3棟の建築主が不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)だったことを明らかにした。川崎大師のマンションを除く4棟について市は「今のところ問題はない」としている。

  市によると、2棟のうち1棟は、社名をヒューザーに変更する前の「ハウジングセンター」が建築主で、市が建築確認をした。もう1棟は、01年の社名変更後のヒューザーが建築主で、民間検査機関が建築確認をしたという。また、残る2棟はヒューザーとは別の建築主で、市が建築確認をした。

  グランドステージ川崎大師以外の4棟について市は、構造計算書に偽造がなかったかや耐震性に問題がないかなどを調査中で、所在地や名称は明らかにしていない。12月初旬までに調査を終え、耐震性などに問題があれば結果を公表するという。

  
 

  
(11/25)

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news01.asp?kiji=7504