2005年11月21日(月) 15時51分
耐震強度偽造 倒壊の恐れ12棟 国交省公表(産経新聞)
首都圏のマンションなどの耐震構造を示す計算書が偽造されていた問題で、国土交通省は二十一日、既に完成している十四棟のうち、震度5強の地震で倒壊の恐れがある建物が、これまで判明している四棟のほかに八棟あることを明らかにした。倒壊の危険性が指摘されたのは計十二棟となった。こうした物件の一部では建築主が入居者に退去を求めるケースが出始めているが、今回、大半の物件の危険性が判明したことで退去や補償などをめぐる混乱は必至となった。
千葉県市川市の姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)は、未着工や工事停止中の物件を含む計二十一件について、構造計算書を偽造していたことが分かっている。
国交省はこれまで、千葉県船橋市の賃貸マンションと、川崎市川崎区の分譲マンション二棟の強度が、建築基準の三−七割しか満たしていないとして物件名を公表。残る十二棟について強度を調べる一方、未着工などの物件についても、姉歯建築士が使用したのと同じ数値を使って確認する作業を急いでいた。
また、完成済み十四棟のうち四棟のマンションを開発した不動産会社「シノケン」(福岡市)は独自調査の結果、二棟が震度5強の地震で倒壊する恐れがあると発表していた。
国交省は二十一日、全物件名とそれぞれの危険度を公表。同省によると、危険度は大地震発生時に各フロアが耐える必要がある「水平力」に対して、その物件が実際に耐えられる力を示す値が「一・〇」である場合は震度6強の地震に耐えられるという目安。「〇・五」を下回ると震度5強で倒壊する恐れがあるという。
完成済み十四棟のうち、十二棟で「〇・五」を下回り、最も低かったのは「ステージ大門」(東京都港区)などの「〇・二六」だった。「〇・五」を上回った二物件についても震度6強で倒壊の恐れがあり、耐震補強が必要で、場合によっては建て替えを迫られるという。
この問題をめぐっては、千葉県船橋市の賃貸マンションを所有する不動産会社「サン中央ホーム」が二十日、五十七戸の全入居者に転居を求める文書を配布。シノケンも入居者に退去を求め、転居費用などを負担する方針を示している。
(産経新聞) - 11月21日15時51分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051121-00000022-san-soci