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2005年11月21日(月) 00時00分

遅い行政対応憤り 「偽造」マンション説明会 東京新聞

 「補修工事だけでは納得できない」「不安で夜も眠れない」−。建築確認に偽造した構造計算書が使われ、耐震性に問題があるマンションの住民説明会などが二十日、開かれた。住民たちは仮住まいの仲介や転居費用の負担などを求めたが、参加した行政側ははっきり答えず、不満が続出。住民による対策委員会をつくったマンションでは、欠陥を見逃す結果を生んだ検査を行った機関を指定した国の責任を追及する声も出た。

 ■墨田

 墨田区のマンション(三十六世帯)では、住人約五十人が同区内の集会所に集まり対策委員会を設立。建築主に建て直しや全額弁償などを求めることを決めたほか、ほかのマンション住民とも連携を図ることを検討する。国に対しても、検査機関を指定した責任を追及したいとしている。

 集会では、住民から「建築主との集会をできるだけ早くやってほしい」「いつ出て行けと言われるか、不安で仕方ない」などの声が出た。

 管理組合理事の会社員男性(32)は「(耐震性の)数値がまだ出ていないので、さらに不安。ほかよりは強度があるという希望的観測はあるが、もっと弱いという不安がある」と話した。

 同委員会によると、三十六世帯のうち三十四世帯が出席。出席者へのアンケートでは、十四人が「建て直し」、二十五人が「全額弁償」を求めたという。

 ■川崎

 川崎市川崎区の分譲マンション。同市が開いた説明会で、住民側は「生命の安全と財産を守ってくれるという保証がほしい」と訴えた。

 全二十三戸のうち、二十二戸、四十二人の住民が出席。市の担当者が構造計算書偽造の方法の概要や、報告を受けた取り組みなどを説明した。住民側は希望者への仮住まいのあっせんや、転居費用の負担、居住者の精神面でのケアなどを市側に求めた。

 終了後の会見で、マンション管理組合の副理事長男性(42)は「目に見える欠陥はほとんどなく、快適に生活してきた。補修はありえない。建て替えか契約解除を求めていくが、どちらかといえば契約解除を優先する」と話した。

 さらに、国や姉歯建築設計事務所のこれまでの発言や対応に対し、「責任のなすりつけ合いをしているだけで、住民のことを考えているとは思えない。民間委託のシステムをつくった国の責任は最も重い。責任を早急にとるべきだ」と憤った。

 また建築主のヒューザーについても「謝罪に来るよう伝えたが、問い合わせにも『はっきりしていない』と答えるだけ。逃げようとしているのでは、という不安でいっぱいだ」と話した。

 ■船橋

 「震度5強で倒壊の恐れ」と国土交通省に指摘された、千葉県船橋市湊町のマンション「湊町中央ビル」。近くの自治会館で開かれた説明会には約四十人が出席、安全を最優先するよう求める意見や、市の対応への不満を訴える声が相次いだ。

 住民側は、建物の危険性について「データ解析だけで判断せず、現地調査をすべきだ」と指摘したが、市は「調査するが、いつかは言えない」など返答。「補修か壊すのか、はっきり示して」「国の対応を待たず、市として積極的に対応すべきだ」などの意見も出たが、市側は明確に答えなかった。

 住民の男性は「(行政側は)報道されるより前に(危険性が)分かっていたのに、対応が遅い。安全確保について説明がなく、不安は解消されない」と不満を述べた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051121/mng_____sya_____008.shtml