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かつてはオタクっぽいイメージもつきまとったマンガ喫茶。だが最近ではゲルマニウム温浴、ネイルサロン、有機野菜バイキングなど新手のサービスを提供する店が増えている。客層も「若い男性の一人客」から、女性やグループ客などに広がり、マンガ喫茶の数自体も急増中だ。
新宿・歌舞伎町にあるマンガ喫茶「アプレシオ新宿ハイジア店」。休日前の夜、ホテルのフロントを意識したという高級感ある受付に次々と客がやってきた。半数以上は、女性の一人客かグループだ。
ダンススクール帰りに立ち寄ったという新宿区の女性会社員(24)は「お目当ては併設のストレッチ店」と話す。同店のモットーは「女性が一人でも入れる店」。マンガ喫茶定番のマンガ、インターネット、ドリンクコーナーのほか、手足を蒸気やお湯で温めるゲルマニウム温浴を備え、タイ式ストレッチ店を併設する。
深夜2時を回り、ブースから気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。始発電車の時間になると、客たちはシャワーを浴び始める。兵庫県宝塚市の会社員の渡利和也さん(30)は「ホテルは高いのでマンガ喫茶に泊まることにしました。シャワーも快適でした」と店を後にした。
同店のように様々なサービスを取り入れるマンガ喫茶が増えている。ボウリングやカラオケ、ミニサッカーコートも備え、もはや総合アミューズメント施設と呼べる店も。東京・中野のカフェでは有機野菜を使ったバイキングが人気だ。
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日本複合カフェ協会(東京都)によると、マンガ喫茶の歴史は、1970年代に名古屋に出現した「マンガがたくさん置いてある喫茶店」にさかのぼる。
その後、「飲み物1杯で1時間」といった時間制システムに進化。インターネットの登場後は、ネットカフェと融合した「複合カフェ」化も進んでいる。
数も増えている。同協会によると、1999年は全国で約300店だったが、2004年に2500店に増加。2014年には6300店に達すると予測している。同協会顧問の若松修さん(54)は「土地と開店資金があれば、2か月でオープンできる」と急増の原因を分析する。
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マンガ喫茶の“宿泊施設化”やネットカフェとの融合が進むにつれ、これまでにない問題も出てきた。
川崎市の複合カフェでは10月、長期滞在していた男性から店員13人に結核が集団感染していたことが発覚した。マンガ喫茶は食品衛生法に基づき保健所に届け出るだけで開業できる。だが枕やシーツを提供すると旅館業法が適用され、簡易宿泊施設として消防設備の充実が義務づけられる。また浴槽を備えると、公衆浴場法による厳密な水質管理が必要となる。このため多くのマンガ喫茶はひざ掛けだけを提供し、簡易シャワーだけで済ませるなど「飲食店」としての形態を保っているのが実態だ。
ネットカフェを舞台に、他人のIDやパスワードを盗み、銀行口座から不正送金させるなどの犯罪も相次いでいる。またブースが半個室となっているため、未成年者によるアダルトサイト閲覧も悩みの種だ。
このため、暗証番号などを盗み取る不正ソフトのインストールを防ぐ措置や、未成年者がアダルトサイトに接続できないようにする情報選別ソフトの導入などが業界で進んでいる。
日本複合カフェ協会も今年9月、〈1〉会員制の推進〈2〉ブースの扉の撤去〈3〉インターネットセキュリティーの強化——などを決めた。
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米国や韓国、中国などにもネットカフェはあるが、マンガは置いていない。コミックとともに発達を遂げたマンガ喫茶は「日本独自の文化」だ。
先月、「オタク市場の研究」を発表した野村総研オタク市場予測チームによると、コミックオタクの人口は35万人で市場規模は830億円に達する。
調査に携わった上田恵陶奈(えとな)さん(29)は「かつてはオタク層がマンガ喫茶業界を引っ張っていたかもしれない。しかし現在はオタク系の客は少なくなり、仕事でパソコンの電源を必要とするビジネスマンらが目立つ」と指摘。さらに今後の業界展望について、「マンガ喫茶の件数はカラオケ店程度にまで増えるのは間違いない」と分析している。
マンガ喫茶の歴史(日本複合カフェ協会などによる) 1970年代「マンガがたくさん置いてある喫茶店」が名古屋に出現 90年代半ば東京・高田馬場などに時間制のマンガ喫茶が登場 98年ごろ東京・秋葉原でネットカフェブーム 2000年ごろブロードバンドの普及でネットゲームがマンガ喫茶で人気に 03年ごろマンガ喫茶の新サービスが増加、複合化が進む。一方、複合カフェを舞台とした不正アクセスなどが多発◆
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