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2005年11月19日(土) 00時00分

墨田のマンション入居から1年満たず 耐震偽装建物、都内に11棟 東京新聞

 偽装した構造計算書類によって建てられ、耐震性が不足している恐れのあるマンションなどは、都内に十一棟(未着工含む)あった。国土交通省は物件名を公表していないが、問題が指摘された建物の住人らには地元区市などから連絡があり、「入居したばかりなのに」「これからの生活はどうなるの」などと動揺が広がる。各区市は住民からの問い合わせや、移転先の準備など、対応に追われている。

 中央区のマンションは駅に近く、「安さと広さがうたい文句だった」(入居者)。全戸売却済みだが、まだ入居していない世帯も多く、住民による管理組合すらできていない。十八日夕刻には、玄関で顔を合わせた住民同士が、不安げに話し込む姿も見られた。

 夫と一歳の息子の三人家族の主婦(36)は、九月に入居。「室内のオプション工事もこれからなのに。困惑しています」と話す。購入時のパンフレットには「耐震性」もうたわれていたという。

 入居者には同じような若いファミリー層が多いといい、「業者は造っておしまいかもしれないけれど、私たちには生活がある。子どもたちの未来を考えたことがあるのか」と怒りをぶつけた。

 区内の別のマンションから九月末、妻と五歳の娘を連れて移り住んだ銀行員男性(39)は「結果次第では、ここに住むわけにもいかなくなる。途方に暮れています」。隣の部屋は、まだ入居している様子がないという。「管理組合ができておらず、住民が集まる場も今はない。業者への対応を考えなければ」と話した。

 墨田区内のマンションも駅から近く、住宅や商店が混在する中に建つ。新築し、入居してから一年にも満たない。

 娘が住んでいるという五十代の女性は、「詳しいことは分からないと言っていた。十階に住んでいるので心配です」と、不安をあらわにする。

 周辺住民によると、このマンションは建設の際、反対運動が起きたことがあるという。

 「(地震が起きれば)近いから怖いし、たまらないね」と話すのは、かつて建設に反対していた飲食店経営の男性(38)。「今は住んでいる人にお客もいる。(マンションが建って)それなりによかったと思うよう努力していたのに…」とあきれていた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20051119/lcl_____tko_____000.shtml