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2005年11月19日(土) 00時00分

【関連】『なぜ安い』不安現実に 入居半年 ひび、水漏れも 東京新聞

 十分な耐震性を備えていない恐れのあることが判明して東京、千葉、神奈川で不安を広げている耐震計算偽造マンション。購入して現に暮らしている住民たちは「相場に比べて安いと感じた」「やけに手ごろな価格だった」と指摘する。売買契約を結ぶ前、安さの理由を尋ねると、販売会社(建築主)側が「豪華にせず、経費節減できた」などと説明して納得させていたケースがあったという。強度を犠牲にすることで実現した安さが、販売上の武器になっていた実情が浮かんだ。 

 「どうしてこんなに安いのか」との疑問に、マンションの建築主でもある販売会社の担当者は「モデルルームをつくってないので…」「設備を豪華にしていないから」などのセールストークで事前に説明していたという。しかしそれを信じてマンションを購入した住民は、今回、裏切られることになった。

 姉歯建築設計事務所が構造計算にかかわった都内のマンション物件の住人の会社員男性(59)は、不動産会社に勤務する二十代の息子とともに約九十平方メートルの部屋を四千万円弱で購入し、今年一月に入居した。

 「この地域の相場からいえば広さを考えても安いと感じた。手の届く値段。それで、どうして安いか聞いてみたんです」と男性は振り返る。

 セールスマンは熱心な様子で「設備を豪華にしないで、シンプルにしている」「モデルルームをつくってないので、経費節減できた」などと理由を説明したという。

 不動産事情には詳しい息子も納得。「すごく信頼していた。いいセールスで『見習わないと』なんて息子は話していた」というが、住み始めてから、事態は一変する。

 男性によると、入居から約半年後、外壁にひびが入り、水が噴き出してきた。修理を依頼してもまた雨の日になれば、染み出してくる。室内でも壁紙がはがれたり、水漏れなどのトラブルが相次いだという。男性は「下請け業者が、百パーセントの仕事ができないのなら、その根本は、しっかりと金を払っていない建築主の問題」と、怒りをぶちまける。

 男性は、物件の割安さは、手抜き工事に関係しているのではないかと、思い始めた。「建築主が(こういうことになるのを)知っていたのであれば、許せない。自分たちの生命にかかわってくる。計画的なものなのかと勘ぐりたくなった」とも。

 行政に対するいらだちも。民間に、任せた形となっている建築確認方法に「行政が簡素化したためだ。金はかかっても、やらなきゃならないことはある。もう一回見直すべきだ」。

 このマンションでは、これから理事会を開いて話し合うという。「自分だけでは動けない。被害者の会が必要。グループをつくって、多方向から(建築主などを)攻めていかないと」と話しつつも、男性は「どかんと頭を殴られた感じ。長い(ローンの)支払いが待っているのに」と悔しそうだった。

    ◇

 「やけに安い」という声は、同じ販売会社の別の物件購入者からも聞かれた。今夏完成したばかりの東京都中央区の分譲マンション(全三十六戸)。群馬県の水道設備会社社長(58)は、仕事で週の大半を東京で過ごしている事情から購入した。

 約百平方メートル、3LDKの広さで六千五百万円ほど。社長は「中央区の一等地なのに、やけに安いとは思った。不動産会社は『安さを追求したモデルケースとして売っているから』と理由を説明していたが…。今後掛かってくる費用は、業者にきっちり要求したい」と話した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051119/mng_____sya_____007.shtml