2005年11月18日(金) 00時14分
建築事務所が耐震強度を偽造…マンションなど21棟(読売新聞)
東京都と千葉、神奈川両県内のマンション計20棟とホテル1棟について、千葉県市川市内の建築設計事務所が耐震強度などを示す「構造計算書」を偽造していたことが判明、国土交通省は17日、建築基準法の耐震基準を満たしていない恐れがあるとして、地元自治体と協力し、避難を含めた住民への説明を開始した。
2棟のマンションについては、同省などの強度計算で「『震度5強』の地震で倒壊などの危険がある」という結果が出ており、大規模な補修や建て替えが必要となる可能性が高いという。
計21棟のうち、マンション13棟(計471戸)とホテル1棟はすでに完成している。あとの7棟のうち4棟が工事中で、残る3棟はまだ着工していなかった。都県別の内訳は、東京11棟、千葉6棟、神奈川4棟。
千葉の1棟は船橋市湊町2の「湊町中央ビル」で、国交省は17日、「居住者への説明などが終了した」として、唯一、マンション名を公表した。
構造計算書を偽造していたのは、姉歯(あねは)秀次1級建築士(48)が経営する個人事務所の「姉歯建築設計事務所」で、首都圏の中規模マンションの設計や、他の事務所の下請けとして、「構造計算」だけの業務などを請け負っていた。
国交省によると、同事務所は2003年2月〜05年10月の間、問題の21棟の柱や梁(はり)の構造計算をする際、建物にかかる外力の数値を実際の約半分にして入力していた。この結果、柱や梁が地震や台風などに耐えられない太さだったり、鉄筋が必要量より少なかったりしていた。とくに、川崎市と千葉県船橋市の2棟のマンションは、一部分が必要な強度の3割しか保たれていなかった。21棟が建つ地域の中には、今年7月に首都圏で最大震度5強を観測した地震の際に、5弱を記録した地域も含まれているが、問題の建物への影響については報告がない。
建築基準法では、震度6弱の中規模地震で壊れず、6強以上の大規模地震で倒壊などが起きないよう耐震基準が定められており、構造計算の結果、柱の太さや鉄筋の数が足りなければ、設計を見直すのが通常だ。
姉歯建築士は千葉県の事情聴取に対し「コスト削減のプレッシャーがあった」とだけ話しており、詳しい動機は説明していない。千葉県の調べでは、姉歯建築士は問題の21棟のほかに、過去5年間で計約90棟の構造計算書の作成にかかわっていた。国交省では近く、同建築士を建築基準法違反で刑事告発する方針だ。
(読売新聞) - 11月18日0時14分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051117-00000013-yom-soci