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2005年11月18日(金) 16時26分

姉歯事務所・耐震計算偽造:安全よりコスト 住民「裏切られた」 /千葉毎日新聞

 「新築で安全だと思って入居したのに裏切られた思いだ」——。市川市の建築設計事務所がマンションの耐震性の構造計算書を偽造していた問題は、昨年以来相次いでいる地震に気をもむ都市住民を不安に陥れた。偽造の恐れが指摘されたのは、船橋市の賃貸マンション「湊町中央ビル」(59戸)など5件と、白井市のマンション1件の計6件。船橋市の賃貸マンション2件には既に入居者がおり、「降ってわいた災難」に入居者は憤っている。今後、マンション所有者、居住者らが法的手段をとることも予想され、問題は尾を引きそうだ。【井上和也、森禎行】
 船橋市は17日、記者会見し、「市内に構造上極めて危険な可能性がある建物が5件ある」と発表した。いずれも賃貸マンションで、市はオーナーに対して偽造の疑いを報告。同日、相談窓口を設けた。工事中の3件については、すでに工事を中止しているという。
 市によると、偽造した姉歯建築設計事務所(代表者・姉歯秀次氏)の建築確認検査を行ったイーホームズから報告があったのは今月7日と10日。偽造の疑いのある5件については耐震性などで構造上極めて危険な可能性があることが判明した。完工済みの2件については、構造計算が指定確認検査機関の確認検査段階と施工段階でも是正されなかったとみている。
 市では、報告を受けた物件について、設計者から事情聴取を行い、構造計算の再検査、構造上の安全性の確認を指示。早期の報告を求める。
 相談窓口は同市建築指導課(電話047・436・2666)。
   ◆   ◆
 船橋市の中心街では最近、姉歯建築設計事務所が地元不動産会社と組んで賃貸マンションの建設が急ピッチで進められている。偽造の疑いが指摘された「湊町中央ビル」も今春に新築でオープンしたばかりだった。
 同マンションの9階に半年住んでいるという男性会社員(27)は「何を基準にマンションを造ったのか。それがコストなら裏切りだ。怒りがこみ上げてくるが、(大きな地震が)来る前に分かって良かった。あすオーナーから説明があるが、はっきりした回答がないなら、ずっといても仕方ない」と転居も念頭にあることを明らかにした。
 同日夜、仕事を終えて帰宅した居住者からは「8月の地震で震度4だった時にものすごく揺れ、震度5か6だと思ったほどだ」などの言葉が相次いだ。
 地元の建築事務所関係者は姉歯建築設計事務所のかかわったマンション建築について「周辺住民への十分な説明もなく建設が進められており、いつかトラブルを起こすと思っていた」と語った。
 一方、県建築指導課は管轄する白井市のマンションについて17日までに複数回、建築基準法に基づく構造計算の再検査などを施工業者と設計者に求めた。また、船橋市のマンション2棟の居住者が移転を希望した際に備え、県営住宅、県住宅供給公社の計222室を充てる準備をしていることを明らかにした。

11月18日朝刊
(毎日新聞) - 11月18日16時26分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051118-00000127-mailo-l12