2005年11月18日(金) 15時19分
<構造計算書偽造>国交省が民間検査の監視機能強化へ(毎日新聞)
国土交通省は18日、国指定の民間確認検査機関が偽造を見抜けなかったことを受け、検査方法の抜本的見直しについて検討を始めた。従来は、国家資格を持った検査員が一人で確認作業を行えたが、複数の検査員による多重チェック制の導入で再発防止を目指したい考えだ。また同省は、偽造した姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次・1級建築士(48)の国家資格について、事実関係を確認した後、建築士法に基づき、取り消しを含めた厳しい処分を行う方針。
国交省によると、民間検査機関の検査員は、建築基準適合判定資格を持っている。1級建築士の資格を持ち、年に一度の国家試験に合格しなければならない。昨年の試験の合格率は約25%で、ベテラン建築士でないと合格するのは難しいという。
姉歯建築士による偽造手口は「正規の体裁と異なる書類で、簡単に見破られたはず」(国交省)だったが、民間検査機関の確認作業では見抜けなかった。この結果、首都圏のマンションやホテル計21棟の構造計算書が承認されてしまった。
98年の建築基準法改正により、翌年から導入された民間検査機関による確認は「民間の方が早い」などから自治体による検査を上回っている。背景に地価下落などに伴う中高層マンションの建設ラッシュもあり、民間検査機関を活用する業者が増えているという。
また、周辺住民が日照権などを巡り反対する建物でも、行政機関が間に入る前に、建築確認を済ませてしまう例も報告されている。
国交省は「資格を持ったベテラン建築士が偽造するとは思わなかった」とチェック体制に問題があったことを認め、検査員を複数にした新たな検査の仕組み構築に向け、作業を進めている。
【長谷川豊】
(毎日新聞) - 11月18日15時19分更新
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