2005年11月17日(木) 23時53分
<ニセ耐震>書類偽造の手口は単純 国交省幹部もあきれる(毎日新聞)
なぜ見抜けなかったのか——。完成済みの14棟の偽造された構造計算書は、国の指定の民間確認検査機関が03年2月〜04年6月、耐震基準に適合していると誤った確認をしていた。元請け設計事務所も、こうした偽造計算書を素通りさせており、ずさんな検査体制が浮き彫りになった。
国土交通省などによると、構造計算は、建築士が地震などの外力、柱の大きさ、鉄筋の数、建物の形状などをコンピューターに入力。コンピューターがそのデータを処理したうえで、基準に適合しているか、しないのかを判断。別々に印刷される入力シートと出力シートを合わせて、建築士が確認申請書を提出する。両シートには、ページごとに同一記号の認定番号が振られており、入・出力が同じプログラムで行われたものであることが証明される。
姉歯秀次建築士の手口は、入力シートで正規の外力などを入力したものを使いながら、出力シートで半分程度の外力しか入力していないものを使っていたという。このため、入・出力の認定番号が異なっており、「通常ならすぐに気づく単純で稚拙な方法」(国交省幹部)という。
また別の職員は「マンションは特別な建築物ではなく、建設業者も普段より柱が細い、などと気づくはずなのに」と首をかしげた。
こうした検査はそれまでは自治体の建築主事が行ってきた。しかし、95年の阪神大震災以降、自治体は違法建築物の指導に力を注ぐべきだとの声が強まったため、98年の建築基準法改正で99年から民間にも検査が任され、自治体の仕事は大きく減った。民間確認検査機関は現在全国で、財団法人や株式会社など約120あり、6割程度の検査を担っているという。
(毎日新聞) - 11月17日23時53分更新
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