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愛知県春日井市の無職男性(70)は昨年七月、東京の投資顧問会社からの電話で「大塚製薬が十一月か十二月上旬ごろに上場する。公開すれば株価は必ず上がる」と、購入を持ちかけられた。一株二十万円で譲ると言われ、同八月、八株分の百六十万円を指定口座に振り込むと、すぐに株券預かり証が届いた。
しかし、十二月下旬になっても上場の動きがないため、男性が業者に連絡すると「上場は来年二月ごろに延びた」と説明された。さらに、ことし三月に再度問いただすと、業者は「十一月か十二月に延びた」。
不信感を持った男性が解約を求めたが、業者は拒否。十月に弁護士を通じて再度返金を要求したが、業者は応じないため、訴訟を検討している。
大塚製薬の具体的な上場予定は、今も決まっていない。男性は「だれでも知っている会社の株だったから、業者を信用してしまった。厳しく取り締まりをしてほしい」と話す。
証券会社などでつくる日本証券業協会の証券あっせん・相談センターによると、未公開株に関する相談は、ことしに入り増え始め、ここ数カ月は月約百件あり、センターに寄せられる相談全体の二割前後を占めるという。
その多くは、業者の勧誘で未公開株を購入したが、上場予定がないため返金してもらいたいという相談だ。投資額が数千万円に上る人もいる。中には、上場は事実だったものの予定公募価格の七倍もの金額で買わされたケースも。
同センターによると、相談が増えた背景には、新規株式公開(IPO)の人気の高まりがある。公開後の株の初値が公募価格の二倍以上になる銘柄が続出しているが、こうした株は競争率が激しく、入手が難しい。そんな中「上場間近の未公開株」は魅力的に思える。
未公開株の発行元になっているのは、昨年六月に上場方針が報じられ、先月上場が確定したアース製薬や大塚製薬などの大塚グループ、証券、IT企業などだ。しかし、大塚製薬などの未公開株は、譲渡制限を設けているため、取締役会で承認されない限り、取得しても名義変更ができず株主として認められない。
勧誘しているのはどんな業者なのか。
証券あっせん・相談センターの白石勝所長は「ほとんどが本物の株券を持っていないだろう。振り込み詐欺と同じ手口ではないか」とみる。営業としての株取引は、証券取引法上、証券業の登録が必要だが、相談などで名前が挙がった勧誘業者は、いずれも証券業登録を受けてない。
一方で、登録会社のほとんどが加盟する日本証券業協会は、自主規制により、グリーンシート銘柄と呼ばれる一部の株を除き、未公開株の勧誘を禁じている。
無登録の業者がはびこる中、金融庁は、実態が把握できた業者への注意や警告、さらに警察への告発を続けており、消費者に対して「各地の財務局に情報を」と呼びかけている。
未公開株の勧誘があったら、業者の証券業登録の有無を調べ、株の発行会社に上場などの情報を確認した方がいい。ただし、発行会社自体が架空だったり、発行会社が勧誘業者と手を組んでいるケースもあるという。
白石所長は「本当に会社が上場して未公開株が公開されるのか。価格は適正か。未公開株にはそれらの判断基準がない」と、未公開株購入の危険性を指摘している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20051117/ftu_____kur_____001.shtml