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長崎市で7日、開かれた国立大学協会(国大協)の総会。会長の相沢益男東京工業大学長は「入学料の値上げは断固反対だ」と発言した。今春に授業料の基準となる「標準額」が1万5000円引き上げられたため、「次は入学料」という警戒感を国大協として表した。
授業料や入学料の値上げは「私立大との格差是正」が理由にされてきた。授業料は1975年度には、国立大3万6000円、私立大約18万2700円(平均)と格差は5倍以上だったが、2004年は国立52万800円、私立81万7900円と1.6倍に縮小。
入学料は75年度に国立大5万円、私立大9万5600円だったが、少子化をにらんで私立大の一部が学生集めのため引き下げたことなどから2004年度に逆転、国立28万2000円、私立27万9800円となった。
私立大が入学時に集める平均20万円の施設費を合わせても格差は75年度の4.3倍から1.6倍に縮まった。
「施設費など入学時に支払う額は私立の方がまだ高い」。財務省によるこれまでの値上げ主張に対し、文部科学省は「国立大の場合、施設整備は国の責任で行うもの。入学料と施設費を一緒にはできない」と反論。
授業料や入学料の引き上げは、地方国立大の経営に影を落としている。学生を学費の安さでつなぎ留めることができない上、共同研究で資金を得たくても組む企業が少ないからだ。頼りは国からの運営費交付金だが、経営効率化を促すため年1%の削減が続いている。
この春に唯一、標準額の値上げに同調せず授業料を据え置いた佐賀大は交付金減額と合わせて約2億円の減収になった。財務担当の野田清理事は「県内に大企業が少ないので外部資金もなかなか集められない。都会から来る学生のために据え置いたが…」と漏らす。
日本消費者連盟の水原博子事務局長は「引き上げは若い人の学ぶ機会を奪う。税金を払っている立場からすれば、国立大はもっと税金で賄われるべきだ」と話している。
ZAKZAK 2005/11/14