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■日弁連 言い換え例を公開へ
法律の専門家ではない一般の人が刑事裁判に参加する裁判員制度では、分かりやすい裁判の進め方が求められる。法律家の間で当然のように使われてきた難解な法律用語を、どこまで使用するかは大きな課題となっている。
日弁連は昨年八月、国立国語研究所(東京都立川市)の研究員や法言語学者、NHKアナウンサーらを委員に招き、プロジェクトチームを発足。法廷での使用頻度などを基準に、五十の難解な法律用語をリストアップした。一般にはどのように理解されているかを調べるため、大学生らに面接して意見を聞き、重要度の高い用語から言い換え作業に入った。
ホームページで公開を予定している第一弾は「冒頭陳述」「教唆する」「自白の任意性」「合理的疑い」など。
例えば「冒頭陳述」は「検察官が描いた事件のストーリー」▽「教唆する」は「他人をそそのかして犯罪をやる気にさせること」▽「自白の任意性」は「脅されたり、だまされたりすることなく、自らの意思で自白すること」と言い換える。
言い換える際、法律上の意味を変えないようにする必要があり、単純な言い換えでは対応できない用語もあった。
放火殺人などの裁判で使う「未必の故意」は「必ず殺してやろうとまで思っていなくても、死ぬなら死んでもかまわないと思って(火を付けた)」というように言い回しを例示した。
プロジェクトチームの関係者は「法律用語の解釈をめぐっては、検察官と弁護士の間でも意見が分かれるケースが多い。最高裁や法務省からも意見を聞きたい」と話している。
【主な法律用語の言い換え例】
〇公訴事実
「検察官が裁判を求める事件の要点で、裁判の初めに検察官が朗読する起訴状に書かれている」
〇冒頭陳述
「検察官が描いた事件のストーリー」
〇自白の任意性
「脅されたり、だまされたりすることなく、自らの意思で自白すること」
〇教唆する
「他人をそそのかして犯罪をやる気にさせること」
〇反抗を抑圧する
「暴行や脅迫によって、肉体的あるいは精神的に抵抗できない状態にすること」
〇合理的疑い
言い換えは困難で、裁判員に対し使用しないことが望ましい。以下のように説明するのが適当。「証拠に基づいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできない。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければならない」
◆メモ <裁判員制度>
国民から無作為に選ばれた裁判員が、殺人などの重大事件の刑事裁判に参加する制度。2009年5月までに導入。原則として裁判官3人、裁判員6人が話し合い、有罪・無罪を決め、量刑も判断する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051111/mng_____sya_____010.shtml