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2005年11月08日(火) 00時00分

ポケットに届く「新聞」読売新聞

 アップルのiPodに代表されるMP3プレーヤーで聞く放送、ポッドキャスティングを読売新聞が先週から開始した。早速、試してみたが当日の紙面から採った最新ニュース10本程度に社説、コラムと盛りだくさんな20分。朝一の更新なので、通勤電車の中で新聞を広げなくてもおおよそのことは仕入れられそうだ。

 ポッドキャスティングは米国で急速に伸びているネットの新顔。お気に入りをパソコンに登録しておくと番組が自動的に蓄積され、つないだプレイヤーに転送される。あとは好きな時に好きな場所で再生すればよい。プレイヤーがなくても、パソコン上で好きな時に聞くこともできる。

 6月のこの欄では、あのシュワルツェネッガー知事も定例演説に採用したことを紹介したが、その後、個人番組が爆発的に増えており、最近、米ヤフーが専用検索ページを作ったほど。日曜日に教会に行けなくても牧師の説教が聴けるようにと教会が発信する「ゴッドキャスティング」もおおはやり。なにしろ、バチカンのローマ法王庁ですら取り入れているのだ。

 もちろん、新聞、テレビ、ラジオの参入も相次いでいるが、メディアの場合は“共食い”の不安がないではない。視覚障害者に優しいバリアフリーサービスではあるが、購読率や視聴率に影響を与えかねないからだ。とはいえ、新技術を敬遠すれば、IT企業に市場を譲ることになる。

 逆に、工夫次第では、新聞離れが進む若年層と重なる主な利用者に新聞を読みたいと思わせることも可能だろうし、放送番組への誘引もできるだろう。

 先行する米国では大手企業の15秒コマーシャルを流す例もあり、広告収入の道も開かれている。iPodがビデオ対応となったことで、ビデオ・ポッドキャスティングが流行(はや)れば、さらに可能性が高まる。先週からアドビが30分のビデオ・インフォマーシャル番組を開始した。いずれ携帯電話が対応すればブログに続くブレークの予感が——。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051108nt05.htm