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2005年11月08日(火) 17時13分

<アスベスト>中皮腫の会社員に労災休業補償を算定 大阪毎日新聞

 アスベスト(石綿)製品の生産に従事して32年後に石綿関連がんの中皮腫にかかった大阪市の会社員、池田敏美さん(49)が、作業に従事していた16歳の賃金水準などを基に労災の休業補償を算定されていたことが分かった。労災補償制度が、石綿を吸ってから20〜60年後に発症する中皮腫などを想定していないためとみられ、他の労災に比べて支給額は極めて低くなる。池田さんの場合、現在の給与水準の約半分にしかならず、2度にわたって厚生労働相に不服を申し立てている。中皮腫患者の急増に伴い今後同様の訴えが増えそうだ。
 ◇他の労災に比べ、現在の給与水準の約半分
 池田さんは71年3月から、耐火材メーカー「ニチアス」(旧日本アスベスト)の王寺工場(奈良県王寺町)で社員として石綿製品を製造。マスクをしないまま素手で石綿をほぐす作業を続けた。体がチクチクするなどしたため72年7月に退職した。
 その後、大阪市の会社で働き、月収が28万〜29万円あったが、昨年4月に悪性胸膜中皮腫と診断を受け、休業した。休業補償は平均賃金の約8割を支給されるが、労災保険法などの関連規則は、石綿暴露した最終職場の年齢や職種などを基に算定すると定めている。
 このため、葛城労基署は池田さんが72年に16歳だったことなどを考慮して、月額約12万円と算定。池田さんが「今休業しているのにおかしい」と行政不服審査を求めたところ、奈良労働局は今年8月、現在のニチアスの休職手当などを考慮して算定を一部やり直した。ところが、支給額は依然約15万円と低いため、池田さんは再審査を申し立てた。
 池田さんは「収入の約半分の補償で妻と2歳の娘をどう養えばいいのか。16歳で計算するなら、30年前の体を返してくれ」と補償の見直しを求めている。【大島秀利】
法令の改正必要 元行田(埼玉)労基署長で、全国労働安全衛生センター連絡会議顧問の井上浩さんの話 今の関連規則では潜伏期間が30年を超えるようながん患者を救いきれないことを示す事例だ。発症した年齢の石綿職場労働者の平均賃金を基に算定するよう関連法令を改正すべきだ。
(毎日新聞) - 11月8日17時13分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051108-00000070-mai-soci