2005年11月05日(土) 07時04分
労働局、受講生に返還命令 パソコン検定給付金制度悪用(河北新報)
仙台市宮城野区のパソコン教材販売会社が厚生労働省の教育訓練給付金制度を悪用し、宮城県内の受講生に給付金を不正受給させていたことが、4日までに分かった。宮城労働局の調べでは、2002年10月からの1年間で、不正受給者は少なくとも約160人に上り、同労働局は計1600万円を返還させた。
同労働局などによると、教材販売会社は02年10月、パソコン検定向けの通信制講座(3カ月間)を開設し、代理店を通じ受講生を集めた。講座を修了していなかったり、受講の事実がなかったりしたにもかかわらず、給付金申請に必要な修了証明書を発行、給付金を不正に受給させた。
教材販売会社は受講生から受講料約41万円を受領。同社はこのうち11万円を受講生にキャッシュバックしたり、教材のパソコンを提供したりしており、残りが同社の収入になっていたとみられる。受講生には国から給付金30万円が支払われていた。
「不正な勧誘が行われている」との情報を受けて、同労働局は昨秋、調査を開始。03年9月以前に募集した約1600人にパソコンや金品提供の有無、実際に受講したかどうかを聞いたところ、161人が不正受給を認め、今年8月末までに1人当たり6万—30万円、計1620万円を返還した。
教材販売会社は昨年3月に講座を廃止するまで、宮城県内の会社員ら約2200人に通信講座を受講させたとして支給された給付金総額は約6億490万円に上る。
信用調査会社によると、不正な手口で通信教育講座を運営していたとみられる02年から03年にかけて売り上げを約3億円増やした。関係者の話では、その後経営が悪化し、今年2月に全従業員を解雇し事実上、経営破たんしているという。
教育訓練給付金制度の悪用をめぐっては、山形県警が04年4月、東京の通信制パソコン講座運営会社を摘発し、経営者ら17人が詐欺罪で有罪判決を受けている。
同労働局は教材販売会社経営者らへの法的措置などについては、「十分に検討した上で対応したい」としている。
(河北新報) - 11月5日7時4分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051105-00000011-khk-toh