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個人情報保護法の全面施行に伴う過剰反応が相次ぐ一方、保護法では執拗(しつよう)な勧誘電話やダイレクトメール(DM)でも止める措置が取れないことに、国民生活センターなどに不満や苦情が寄せられている。災害時に備えた自治会の住民名簿作りなど非営利団体の個人情報の有効利用に支障が出ている上、国民の期待が大きい肝心の悪質業者排除にも使えない実態が浮かび上がった。
この半年間に同センターの専用相談窓口に寄せられた約900件のうち、約3割は「自治会名簿の作成は違反にならないか」など、法律の解釈・運用に関する相談。約7割が、「個人情報の利用に同意していないのに電話勧誘を止められない」「業者が個人情報の入手経路を言わない」といった苦情や不満。「ランドセルを扱う業者が自宅を訪問してきた。なぜ入学を控えた子がいると知ったのか尋ねたが、『保護法では答える必要がない』と言われた」などの声が寄せられている。
センターが「利用目的が公表されていれば止められない場合がある」「入手先を開示させるのは難しい」と説明すると、怒り出す人もいるという。
背景には、手厚い漏えい防止策の一方、利用については企業活動に配慮した保護法の仕組みがある。
5000人超の個人情報を持たない事業者は、同法の適用対象外。悪質業者が「適用外で従う義務はない」と主張すれば、それが事実かどうか確認するのは容易ではない。
適用対象の事業者に本人が利用停止を求めても、〈1〉公表した利用目的の範囲内で使用している〈2〉情報を不正取得したわけではない——場合、業者に名簿などの利用停止義務はない。信用を重視する企業は利用停止に応じているが、保護法を盾に苦情を受け付けない業者も少なくない。
「保護法に通じた企業は、個人情報をほぼ自由に使えるが、人も予算も少ない非営利団体には負担が重い印象だ」と、センターの担当者は話す。