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2005年11月04日(金) 03時08分

<明治安田生命>後任社長に松尾常務 専務以上は一斉退任毎日新聞

 明治安田生命保険は3日、不当な保険金の不払い問題で引責辞任する金子亮太郎社長(64)の後任に、松尾憲治常務(56)を12月1日付で昇格させる方向で最終調整に入った。同時に退任する宮本三喜彦会長(70)の後任には、関口憲一常務(56)をあてる方針。同社の内部管理体制強化策が金融庁の了承を得られれば近く正式決定する。専務以上の取締役9人は全員退任する。
 同社は2月に最初の不払いが発覚して以降も、新たな不払いや内部管理体制の不備が次々と発覚。金融庁に今年2度目の業務停止命令を発動されたのを受け、経営陣をほぼ総入れ替えし、責任を明確化することにした。不払いに直接関与していない世代への大幅な若返りで、信頼回復と社内改革の取り組みを進める。トップ人事を含む再発防止策を近く業務改善計画としてまとめ、期限の18日を待たずに金融庁に提出する考えだ。
 新社長の松尾氏は、金子社長と同じ旧明治生命出身。営業、人事、不動産など多様な部門での経験を評価された。現在は、保険金支払いを担う保険金部や総務部などを担当している。新会長の関口氏は、宮本会長と同じ旧安田生命出身。運用部門の経験が長く、現在、銀行窓口での保険販売などを担う新市場営業部門長を務めている。
 ただ、金融庁は2月以降の同社の責任明確化への取り組みが不十分とみており、提出される業務改善計画も厳しく精査する方針。内容が十分でないと判断すれば、トップ人事を含め再検討を求める可能性もある。
 【松尾憲治氏(まつお・けんじ)】 神戸大卒。73年明治生命保険(現明治安田生命保険)。長野支社長、取締役などを経て、05年4月から常務。福岡県出身。
 ◇経営のあり方に厳しい視線
 明治安田生命が専務以上の総退陣と50代の常務のトップ起用を決断した。同社は保険金を不当に支払わないという生命保険への信頼を根底から揺るがせる不祥事を起こしたにもかかわらず、経営陣は「現場が経営方針を誤解した」と、責任逃れに終始。その後、新たな不払い発覚や1年間に2度の業務停止命令などで同社への不信は極限に達した。大幅な若返りで契約者の信頼を回復したい考えだが、経営のあり方を根本的に改められるか、厳しい視線が注がれ続ける。
 明治安田の不当な不払いは、金子亮太郎社長率いる旧明治生命が01年「支払い査定力を強化して死差益を拡大させる」との経営目標を掲げてから急増。04年1月の合併後も、数値目標を設けるなどして不払いを推進。過去5年間で保険金・給付金の不当不払いは1053件、総額約52億円に達した。
 金子社長は新たな不払いが発覚した7月に辞意を表明したが、その時点では後任人事を決めず、10月発表した社内調査の発表でも経営責任を認めなかった。こうした事態を重くみた金融庁は10月28日、新規の保険契約と募集を2週間、新商品の販売、開発を「経営管理体制の抜本的な改善が確認されるまで」無期限で停止するという異例の厳しい処分を下した。明治安田は、当初の代表取締役4人退陣と後任に専務を充てる刷新案の大幅な修正を余儀なくされた。
 新体制へのめどをつけたことで、ようやく信頼回復への一歩を踏み出すことになる。ただ、同社には元社長3人が相談役として残り、強い影響力を保ち続けるとみられる。また、金子社長らへの退職金も一定期間の凍結後、支払われる見通しで、どこまで過去に決別して改革を進められるかは不透明だ。
(毎日新聞) - 11月4日3時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051104-00000014-mai-bus_all