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東証では、一九九七年八月にシステムで取引を行う千七百二銘柄の午前の売買が停止して以来の大規模なシステム障害となる。東証と同じシステムを使用している札幌、福岡の両取引所でも、午前中の売買が停止した。
東証によると、一日朝にコンピューターの売買システムがうまく立ち上がらず、一、二部、マザーズ市場に上場している株式など全銘柄と転換社債型新株予約権付社債(CB)百十八銘柄などの取引が不能になった。一方、株式や国債の先物取引は通常通り行われた。
記者会見した東証の天野富夫常務は「マーケット機能が提供できず、申し訳ない」と陳謝。障害発生の経緯については、午前六時半にシステムの通常の立ち上げ処理をしたが、コンピューターが会員証券のコードを読み込むことができず、同四十七分に障害を検知。その後、再度試みたが稼働しなかったと説明した。
■大証に注文殺到
東京証券取引所がシステム障害で取引を停止した影響に伴い、大阪証券取引所で一日午前、大手銀行株など一部銘柄で売買注文が殺到した。
大証と東証に共通上場している銘柄で、東証で取引ができない投資家らの注文が集中したためで、大証は「システムに余裕があるわけではない」(広報・IRグループ)と警戒感を強めている。
午前の出来高概算は第一、二部市場を合わせ三千三百九十六万株で、前日と比べ約二倍に膨らみ大商いとなった。午前の取引では、りそなホールディングス、三井住友フィナンシャルグループなど大手銀行株を中心に、大証で普段あまり取引のない銘柄の売買が目立った。
大証によると、取引開始から間もない午前九時十分ごろから約二十五分間にわたり、大証一部、二部市場で配信遅れが起きた。大証経営企画本部は「東証と共通して上場している銘柄の注文が急増したのが原因ではないか」と話した。
■『ソフトに欠陥』 バックアップ体制も不十分
東証は一日午後の記者会見で、十月にシステムを拡張した際に組み込んだ証券会社からのデータを処理するソフトウエアのプログラムに欠陥があったことを明らかにした。国内株式売買の九割以上が行われる東京証券取引所のシステムダウンが与える影響は、新興市場やネット専業証券で最近頻発しているシステム障害に比べてけた違いに大きい。別の場所にバックアップ用の「第二システム」がないもろさが露呈した形で、世界の主要市場のひとつとしての信頼性も揺らぎかねない。
東証のシステム障害は一九九七年八月一日、立会場の百五十銘柄を除くシステム売買の株約千七百銘柄の取引が午前中停止したことがあるが、全銘柄の取引停止は「前代未聞」(市場関係者)だ。
八年前と今回のシステムトラブルがいずれも一日に起きていることについて東証の売買システム部は「カレンダー的な変更は行っていないので因果関係は不明」と話す。
証券各社は「問い合わせがあった場合には東証の状況を説明しているが、店頭など現場で大きな混乱は起きていない」(大手証券)という。
ネット取引の増加など活況が続く国内市場では今年に入って新興市場のジャスダックが三回、ネット証券の楽天証券が五回のシステム障害を起こして取引が一時停止するなど、システムの信頼性が揺らいでいた。
東証は先月十一日、注文件数の増加に先手を打つため、システムの処理能力を六百二十万件から七百五十万件にまで前倒しで高めたばかり。
非常時に有効で地震など災害対策にもなる「第二システム」の整備は、大変なコストがかかるため東証や各証券会社にとって、長年の検討課題となったまま。だが市場の信頼回復に向けて今後、第二システムの整備が証券業界の緊急課題として浮上する可能性がある。 (経済部・松本観史)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20051101/eve_____kei_____002.shtml