2005年10月31日(月) 15時25分
オウム派閥争い?上祐代表VS松本被告への信仰絶対視(読売新聞)
オウム真理教の内部で、幹部らの主導権争いに端を発した信者同士の対立が起きていることが、警視庁公安部など公安当局の調べでわかった。
上祐史浩代表(42)を中心とした勢力と、松本智津夫被告(50)への信仰を絶対視する「原点回帰派」が、互いに信者らを巻き込んだ多数派工作を続けているという。公安当局は、信者同士のトラブルの激化を警戒している。
公安当局によると、教団は、2003年10月、上祐代表が、松本被告を強く信仰する古参信者らの反発を受けて教団運営から離脱して以降、原点回帰派が実質的に運営しているという。
ところが、上祐代表は昨年秋以降、月に数回ずつ都内の飲食店などで開いている独自の会合で、「私が地方を回れば教団の収入を増やせる」と述べるなど、教団運営復帰に意欲を示し始めているという。
さらに上祐代表は、独自に開設しているブログ(日記形式のホームページ)でも、「(信者が起こした)事件が無かったかのような振る舞いが見られる」などと、原点回帰派批判とも受けとれる意見を記している。
今月上旬には、上祐代表を支持する信者約10人が、都内の教団道場を訪れ、「教団は狂信を排除すべきだ」などと原点回帰派を批判する文書を同派信者に手渡す動きもあった。
一方、原点回帰派は、こうした動きに反発。今年8月11日夜、千葉県内の教団道場に信者約10人が押し掛け、上祐代表に近いとされる道場長(39)に対して「(施設を)出ていけ。おまえは(道場長を)解任だ」と迫ったという。
今年夏の説法会でも、最高幹部が「上層部に、グルを否定し魔境に入った者がいる」などと、事実上、上祐代表を批判する発言をした。原点回帰派は上祐代表のブログを見ないよう呼びかけてもいるという。
教団では現在も、双方の勢力が多数派工作を続けているとされ、警視庁公安部の幹部は「先鋭化した信者の行動が心配だ」と話している。
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団体規制法の「観察処分」を受けているオウム真理教の動向監視を続けている公安調査庁は、来年1月で満了する同処分の適用期間(3年)について、公安審査委員会に再更新を請求する方針を固めた。教団が違法行為を繰り返していることなどを根拠に、12月上旬をメドに請求する見通し。
教団を巡っては、昨年1年間に全国で32人の信者らが検挙されており、今年も、パソコン関連会社に信者を無許可で派遣した職業安定法違反事件で、最高幹部の杉浦茂被告(47)ら8人が警視庁に逮捕されている。
教団が埼玉県内で、教団の関与を隠して食品工場を建設していたことも発覚。また、同県内の教団施設で、松本被告の呪文(じゅもん)を大音響で聞く修行が行われていることも確認されたという。
このため、公安調査庁は「教団は依然として、反社会的、閉鎖的で、重大な犯罪を繰り返す危険性のある団体」とみている。
(読売新聞) - 10月31日15時25分更新
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