悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年10月29日(土) 00時00分

隠しカメラの情報で『金おろせぬ』 ATM盗撮のぞけぬ目的 東京新聞

 UFJ銀行の無人店舗の現金自動預払機(ATM)で相次ぎ発覚した隠しカメラによる盗撮事件。“犯行グループ”はインターネットで雇った無職石渡一成容疑者(37)=建造物侵入容疑で再逮捕=に携帯電話を貸し与え、隠しカメラの付け外しなどをメールで事細かく指示する手の込みようだが、目的は依然として謎だ。口座の個人情報を盗み見ていた可能性が高いが、具体的な被害は確認されていない。警視庁幹部は「意図が全く読めない」と首をかしげている。

 隠しカメラは九月上旬、東京、千葉、埼玉の三都県の十数店舗で見つかった。ある銀行関係者はUFJ銀行だけが狙われた理由について「二十四時間営業している無人店舗が多く、チラシを入れる小箱が操作画面の上にあったのも一因では」と指摘する。

 東京都港区の同行六本木出張所で見つかったのは、直径約二センチ、厚み約一・五センチのカメラ二台を乾電池につなぎ、名刺大の小箱にテープで固定させた代物。箱の底に開けた小穴から操作画面とキャッシュカードの挿入口を盗撮する仕組みだった。このタイプのカメラは二万−十万円で市販され、二十メートルほど離れた所でも映像が受信できる。

 だが、犯行目的はやぶの中だ。暗証番号を盗撮し、後でカードを盗み取り、現金を引き出す手口が疑われたが、周辺ですりやひったくりの被害は確認されていない。警察幹部は「カード番号と暗証番号だけでは、お金は引き出せない。ネットバンキングも利用できない。一体何のためなのか」と考えあぐねている。

 隠しカメラの設置役を監視する者も浮上するなど、組織的な犯行についてさまざまな見方がされている。

 一九九三年、警視庁などに摘発された窃盗団はATMの隠しカメラで盗撮した暗証番号と、捨てられた利用明細書のデータを不正入手した他人のカードに上書きして偽造し、現金を引き出していた。

 手口としては似ているが、コンピューター犯罪に詳しい駿河台大の鳥居壮行教授(情報セキュリティー論)は「利用明細書に口座番号が記されなくなったので、代わりに口座番号を盗撮してカードを偽造している可能性がある」と推測する。

 日本情報安全管理協会の剣木(けんのき)博文業務企画課長は、クレジット機能付きカードが狙われたとみる。「カード番号や有効期限、名義が分かればネットショッピングができる。これから請求書が届き、被害が表面化するのでは」と、警告している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051029/eve_____sya_____000.shtml