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日本のNHKにあたる英国のBBCが、今月末にもiMP(interactive Media Player)サービスの実験を開始するという。すべての番組を対象に、見逃した番組を放送後1週間以内なら好きな時にパソコンにダウンロードして見られ、1週間先まで予約も出来る。
実験は5000人を対象に3か月の予定で、問題がなければ無料の正式サービスに移行する。アクセスが激増しても、BBCの設備に負担がかからないよう、違法な音楽ファイル交換にも使われたP2P(ピアツーピア)技術を採用、コストを抑える工夫もある。
録画機に予約をしなくても後で見られるというのは視聴者にとって素晴らしいサービスだが、日本ではことあるごとに持ち出される著作権問題はどうなっているのか。BBCによれば〈1〉テレビ放送後7日で番組は視聴不能になる〈2〉コピーや転送は出来ない〈3〉国外からのアクセスは遮断する——ことなどでクリアしているということのようだ。
日本ではライブドア騒動を契機に、民放のネット配信事業が相次いで公表されているが、中身は正直、パンチ不足。日本の著作権保護は世界で最も厳しいのは事実としても、英国と天と地ほども違っているわけではないのに、どうしてか。
あるキー局関係者によると、著作権以外にもうひとつの“壁”があるという。それは「マーケティングノウハウの蓄積がない」ということだ。どんな番組をどの程度のコストで調達し、どう宣伝すれば、どんな人が見てくれて、ペイするかといったことだ。その前提には、TBSやフジなどが共同で実験した有料配信「トレソーラ」が、4億円かけて3000万円以下の収入しかなかったという苦い経験がある。だから、変化を見定めつつ徐々にやるということにつながる。
そこがIT企業には生ぬるく映るのだろう。ライブドアのフジへの突撃が民放のネット対応を促したように、楽天のTBSへの挑戦はその動きをさらに加速させるのだろうか。(ITジャーナリスト 島田範正)
http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051025nt02.htm