2005年10月22日(土) 14時04分
明治安田生命の会長ら辞任、保険金不払い5年で1053件(ロイター)
[東京 21日 ロイター] 明治安田生命は、2000年度から04年度までの5年間で、保険金・給付金の不適切な不払いが1053件あったと発表した。この結果を受けて、宮本三喜彦代会長、金子亮太郎社長、小沢祐吉副社長が引責辞任すると発表した。
今回公表した不適切な不払い件数は、すでに発表してる「詐欺無効」による不適切な不払い248件と団体年金保険の19件を含めた数字。同社は、追加で保険金31億円、給付金2億円を支払う。
外部の有識者らで作る調査委員会が発表した報告書は、旧明治生命が2001年度以降の経営計画に「支払い査定力を強化し、死差益を拡大」という方針を掲げたことが背景にあると指摘。こうしたなかで、不払いの直接の原因は、保険金の支払査定の権限を持つ保険金部が保険金の支払いを抑制しようとしたためなどとした。また、適切な支払いをチェックする立場の法務部も収益貢献を目標に掲げ、けん制機能を発揮しなかった、と分析した。
常務会などには、不払い件数や金額、理由などは報告されていたが、経営陣は不適切な不払いが増加しているとは認識しなかったと結論付けた。
報告書をまとめた調査委員会の北尾委員長は「不適切な不払いに気付かずに業務を行っていたという意味で経営陣に経営責任はある。それに気付くための方策も講じていなかった」と述べたものの、会社ぐるみでの不払いではないとの認識を示した。
記者会見した金子社長は、死差益の拡大を収益目標に掲げたことについて、「モラルリスクは排除しなければならない。経営としては死差益を充実させることは重要」と述べる一方、「数字目標を掲げるべきではなかった。(死差益の拡大という)表現が間違っていた」と述べた。
金融庁は、すでに検査結果を通知しており、同社からの報告を踏まえて今月中にも行政処分に踏み切る。新体制の人事や他の役員を含めた責任の明確化は、金融庁の行政処分を踏まえて行う。
同社は4—8月の新規契約高が前年同期比27%減、解約失効高は同3%減、保有契約高は同7%減で、3月末と比べると3%減少となったと説明。金子社長は今回の不祥事が「財務の健全性に影響を及ぼすことはない」と説明した。
(ロイター) - 10月22日14時4分更新
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