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2005年10月22日(土) 03時09分

ATM盗撮 カード・暗証番号写す 容疑者「日当1万円で」産経新聞

 UFJ銀行のATM(現金自動預払機)で隠しカメラが相次ぎ発見された事件で、東京都港区で見つかったチラシ入れの箱に暗証番号とカードが写るようカメラが二台入っていたことが二十一日、警視庁捜査三課の調べで分かった。映像受信機を持っていた男(37)=銃刀法違反で現行犯逮捕=は日当一万円で依頼されていたことも判明。警視庁は二十四日にも建造物侵入容疑などで男を再逮捕し、依頼した男らが一連の隠しカメラに関与したとみて特定を急ぐ。
 調べでは、ATMの上に設置されているチラシ入れの箱が改造され、中に単4乾電池につながれたカメラ二台があった。「ピンホールカメラ」と呼ばれる直径約二センチの小型のもので、一台は暗証番号を盗撮するため箱の下に直径約二ミリの穴があけられ、もう一台はカード挿入口を撮影、箱には約七ミリの穴があった。
 男の受信機にも暗証番号の入力画面のほか、キャッシュカードの名義や口座番号が写っていた。現時点で現金が不正に引き出された形跡はない。
 逮捕された男は今月九日、ネットカフェから「お金がほしい方、高収入」とする闇サイトにアクセス。掲載されていた電話番号にかけたところ、「十三日から一週間。盗聴・盗撮の仕事。日当は一万円」と告げられた。逮捕現場の品川区のUFJのATMコーナーにも「カメラを仕掛けた」と供述したが、警視庁で数時間後に確認したところすでになかった。指示した男が近くにいて、持ち去ったとみられる。
 警視庁では犯行が三都県と広範に及ぶ上、カメラの手製の「仕掛け」も十数個にのぼることから組織的犯行とみている。
≪発覚恐れ?移動指示/被害届なく…「すり団」以外か≫
 何者かからめまぐるしく指示を受けた、隠しカメラの設置を認めた男。捜査員にも読めぬ犯人の意図…。多くの謎が残る今回の事件。ATM利用者にとっても有効な自衛策は、なかなかみえない。
 「コインロッカーの上にある鍵で中の物を出せ」
 闇サイトで知り合った男からの最初の指示は東京都文京区内の駅ロッカーからカメラの受信機が入った紙袋を取り出すことだった。袋には三件ほど電話番号のメモリーがあるプリペイド式携帯電話も入っており、この携帯にメールなどで指示が飛んだ。
 「杉並区の高円寺駅に行き、キャッシュコーナーを見つけて入れ」「金を振り込むふりをしろ」
 杉並区の別のATMに移り、同様の行動をするよう言われた後、品川区の大崎方面への移動を指示される。「駅のコンビニのATMに付いた緑の箱をはがせ」
 これが隠しカメラが入った箱で、次に五反田の出張所に移り、その箱をATMに取り付けるよう指示された。男は箱を張り付け、指示通りに居座っているうちに通報され、逮捕された。
 携帯メールの受信記録は二十回以上に及んだ。この間、男はサイトの男と会っておらず名前さえ知らなかった。「入ったコンビニなどにサングラスをかけた不審な男がいた。誰かに監視されているようだった」。男はこう供述した。
 「箱を付けたのとは別のATMで振り込むふりをしろ」。五反田の出張所で、サイトの男はこう命令。杉並区のATMでも「振り込むふりをしろ」と指示していた。警視庁は「別のATMを使わせないことで、カメラを仕掛けたATMに客を集中させる意図があった」とみる。受信機が入った紙袋を出張所内に置き、数十分間とどまるようにとの指示もあった。
 日本情報安全管理協会の伏見正浩理事は「建物密集地で映像を受信できるのはせいぜい三十メートル」と指摘。電池がもつのも三時間程度で、伏見理事は「一カ所に設置したまま、ぐずぐずしていると発覚の恐れが高くなる。そのために設置したり、外したりを繰り返させた」と推測する。
 受信機にはカード上の口座番号や氏名も録画されていた。キャッシュカードにはクレジットカード機能が付いたものもあり、名前などが分かれば、ネットショッピングなどで勝手に商品を注文するなど悪用が可能だ。
 だが、UFJに被害の届け出はなく、「なぜこのような手の込んだことをしたのか。犯人の意図が読めない」と捜査幹部。カメラが見つかったATM周辺ですり被害も報告がなく、暗証番号を盗撮後にその人物をつけてカードを抜き取る「すり団」の犯行とも考えにくいとみている。
 犯行には市販の小型カメラが使われ、ATMに仕掛けられていた。東京・秋葉原で小型カメラは簡単に手に入る。
 小型カメラは十五年ほど前に販売が開始された。当時の価格は五十万円超。「ワイケー無線」の尾崎一雄さん(63)は「飲食店の強盗対策など、防犯グッズとして売り出された」と振り返る。
 今では受信機込みで十万円を切り、針の穴ほどの大きさのレンズや、遠赤外線カメラを内蔵するなど性能も向上。「本来は防犯用だったのに、今は悪用されている」と尾崎さんは嘆く。
 盗撮によるカード被害から身を守るには「番号入力の際は片手やバッグなどで手元を覆い隠す」(警視庁)、「こまめに暗証番号をかえる」(銀行関係者)ぐらいしかないのが実情だ。
(産経新聞) - 10月22日3時9分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051022-00000020-san-soci