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雑誌「改造」編集次長だった再審被告・小林英三郎氏(故人)の長男佳一郎さん(64)は「横浜事件は軍国主義の中で起きた。憲法改正によって、同じようなことが起こり得るのではないかという危険を感じる」と話す。
事件に現代と共通の問題点をみる識者は多い。田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「昨今、メディア規制の動きがある中で、言論しにくい状況がじわじわと広がっている。イラク戦争に反対するビラを配布して逮捕されるなど、すでに統制的な実態はできている」と指摘。「横浜事件は戦前の遠い話ではなく、現在の日本も当時に似た形になっており、危機感を感じる」と言う。
中央公論編集者だった木村亨氏(同)の妻まきさん(56)は組織犯罪処罰法改正案に触れ、「自分は関係ないと思う人も多いだろうが、成立したら恐ろしい」と表情を曇らせる。日本ペンクラブ理事で作家の秦恒平さんも「いま共謀罪を成立させる動きが具体的になっているが、明治の大逆事件、昭和の横浜事件と一本の太い線でつながっているように思えてならない」とみる。「共謀罪も表向きはテロリズムへの対応としながら、(対象とする)範囲や、あいまいさはものすごく広い。結果的に思想弾圧の恐れが出てくるんじゃないかと憂慮している」と話す。
こうした危ぐに対し、日本製鉄社員だった再審被告・高木健次郎氏(同)の長男晋さん(64)は「今回の再審が、社会に警鐘を鳴らすきっかけになれば」と期待する。満鉄調査部社員だった平館利雄氏(同)の長女道子さん(71)も「再審について少しでも知ってもらい、二度とあんな時代に戻らないための力になれば、亡くなった方が一番喜ぶことだと思う」と願いを込めた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051018/mng_____sya_____010.shtml