2005年10月17日(月) 07時05分
宮城社保事務局 年金督促電話を録音 委託業者に指示(河北新報)
宮城社会保険事務局(仙台市)が、国民年金保険料の未納者に電話で納付を促す委託業者に、通話内容の録音を指示していることが16日、分かった。業者は通話相手に無断で録音し、録音記録を一時、保管している。事務局は「録音は業者の電話応対技能の向上を図るためで、個人情報の保護には配慮している」と言うが、「録音するなら少なくとも相手に断るべきだ」との疑問の声が上がっている。
事務局は社会保険庁の方針に基づき、録音を指示する「国民年金電話納付督励業務仕様書」を作り、規約として委託業者に交付しており、無断録音は全国の社会保険事務局で行われているとみられる。
仕様書は(1)委託業者は未納者との通話内容はすべて録音し、最低3日間保存する(2)相手とトラブルが生じたら、事務局が許可するまで保存する(3)事務局は録音記録の提出を求めることができ、電話応対オペレーターの指導を業者に指示できる—としている。
個人情報保護対策としては、情報漏えいの防止や録音記録の厳重保管を義務付けている。
録音は、業者のオペレーターの応対技能の向上のほか、通話相手と言い分が食い違うトラブルに対応する目的があるとみられる。保険料納付の督促電話を受けた青葉区の女性(59)は「録音は聞かされておらず、許せない」と怒っている。
事務局は「録音と記録保管は個人情報保護上、万全の対策を取っている。録音を相手に断るかどうかについては、社保庁の方針に従って適切に対応したい」(年金課)と説明している。
日本弁護士連合会情報特別委員会幹事の牧野二郎弁護士(東京)は「録音は行政、会社側の都合による個人情報の収集に当たり、利用目的を告知しなければ違法行為に当たる」と指摘している。
事務局は、年金未納者への電話での納付督促業務を2002年度から民間業者に委託している。
(河北新報) - 10月17日7時5分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051017-00000011-khk-toh