2005年10月15日(土) 17時22分
平成電電破たん 出資金総額は490億円、返還困難に (毎日新聞)
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平成電電設備が出資者を募集するため04年に配布したパンフレット |
破たんした通信ベンチャー「平成電電」(東京都渋谷区)=民事再生法の適用申請中=を巡り、同社の事業に出資していた一般投資家への配当金支払いが停止されたことが分かった。元本の返還も、契約期間(5〜6年)終了時に出資金が残っていた場合に限られており、約1万9000人の出資者が犠牲になる可能性が出てきた。会社側によると出資金総額は約490億円。出資金募集は破たん直前まで行われており、投資家からは「知っていながら募集したのではないか」と不信の声が高まっている。
◇被害1万9000人、直前まで別会社が募集
ファンドを募集したのは、平成電電とは資本関係がないとされる「平成電電システム」と「平成電電設備」(いずれも千代田区)。「予定基準配当年8%」(後に10%に変更)と新聞や雑誌の広告でPRし、1口100万円で03年9月〜05年9月、21回に分けて資金を集め、今年9月までは配当していた。
2社は募集の際、出資金で平成電電にリースする機器を購入することなどを約束する「匿名組合契約」を締結。購入後に機器を平成電電にリースし、リース料から配当金をねん出していた。契約期間が終了すると、元金に剰余金を上乗せして返還するシステムだった。
ところが、平成電電破たん後の8日、2社は全国の投資家に「ご報告」と題する書面を郵送。平成電電がリース料を支払わず、今後も支払い停止が予想されることなどから「苦渋の決断だが、11日以降、配当金の支払いを見合わせて頂く」と通知した。さらに、契約書に「元本を保証しない」との規定があることを指摘し「説明義務違反は一切ない。(平成電電の破たんは)中途解約の理由にはならない」などと、出資金の即時返還要求に応じない方針を示した。
平成電電は96年に通信事業に参入。03年7月からNTT東西の交換機を介さない格安の固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」を展開した。しかし、契約が採算ラインの100万回線を大きく割り込む約15万回線にとどまり、3日、経営破たんした。【川辺康広、高島博之】
(毎日新聞) - 10月15日17時22分更新
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