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2005年10月11日(火) 00時00分

「生きる力」学ぶ機会もっと読売新聞


(c)Shidhulai Swanirvar Sangstha

 識字率4割というバングラデシュでも、特に教育機会に恵まれない北部湿地帯で教育と生活改善に取り組むシデュライ・スワニバル・サングッサ(Shidhulai Swanirvar Sangstha=SSS)というNGО(非政府組織)がある。

 電気さえなく、モンスーンの季節には学校にも通えない児童や大人を対象に、太陽光発電装置を備えた小型船にコンピューターや大量の図書を積んで巡回し、補習授業、コンピューターの基礎トレーニング、さらには携帯電話によるネット接続環境などを3年前から無料で提供している。

 教育、とりわけITを学ぶことで貧しさから脱却できるような「力」を付けさせるのが目的だ。教育の機会が与えられないでいた女性が家族連れで参加するケースが多いという。


(c)Shidhulai Swanirvar Sangstha

 川を縦横に行き来する自前の船は計38隻、専任スタッフが150人にボランティア1500人。この恩恵を受けている家族は年間8万世帯以上に達する。

 この意欲的な活動に対し、米国のビル&メリンダ・ゲイツ財団は、このほど100万ドル(約1億1000万円)の賞を贈った。その活動の詳細が知りたくてSSSのレズワン代表と5回もメールをやり取りした。そこには、「(賞金で)貧しき人々がITを手にすることをもっと確かにする。そしてこの動きが世界に広まるよう期待する」「日本の子供が十分に学べるのは恵まれている。もっと学び、その成果を貧しき人々に分け与えて欲しい」とあった。


(c)Shidhulai Swanirvar Sangstha

 日本では、校内LAN整備率が5割にも達しない中途半端な状態なのに、来年度の学校IT関連予算は、大幅減の予定だ。ネットで人間関係が希薄になるなどの理屈で実体験重視への転換とされるが、情報教育の重鎮、坂元昂・日本教育工学振興会会長は「ITはもうダメと誤解されかねない。ITこそ子供に生きる力を与えるものなのに」と危惧(きぐ)する。圧倒的に困難な状況でも「ITで生き延びる力」を目指すSSSに学ぶことは多い。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20051011nt07.htm