悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
ニセ国勢調査員の調査票持ち去りから、仙台市で明るみに出た大量の調査員辞退、茨城県で起きた調査員による調査票焼却……。国勢調査が、次々と思わぬ事態に直面している。統計法に基づく国勢調査は、個人情報保護に関連する法律の適用外で、応じる義務があるが、オートロックマンションの増加など住宅事情に加え、背景には保護法の全面施行に伴う意識の変化も垣間見える。回収期限は10日。調査員からは、質問項目や調査方法の見直しを求める声も上がっている。
東京都内など都市部ではオートロックマンションやワンルームマンションが多く、居住者との接触が難しいのに加え、保護法の全面施行を受け、マンション管理会社が管理人に協力しないよう伝えていたケースもある。都庁の職員が出向き、「国勢調査への協力は法律に基づくもので、保護法の例外規定にあたる」と説明したこともあるという。
「調査員が悪者扱いされるのは納得がいかない」と憤るのは、千葉商科大教授の吉井弘さんだ。社会学が専門で、「世の中の実情を把握するのに非常に役立つ」と、2000年の前回調査から調査員となり、今回も90軒を訪問した。
「表札がなく、電話番号も分からない所が多い。いても会えない。一度も相手が顔を見せず、10回以上行ってようやく、玄関に調査票入りの封筒が挟んであった世帯もある」とこぼす。相次ぐニセ調査員の影響もあり、調査員証を見せても怪しまれるという。「質問項目も勤務先など答えにくいものや、別の調査で分かるものもあり、調査方法を含め見直す必要があるのではないか」と指摘する。
都内では近年、高層タワーマンションが増加し、50階を超えるものもある。眺望とオートロック式の厳重な管理が人気を集める。
「1階ごとにいったんマンションから出てください」。都内の調査員(58)は、調査票配布を前に調査の概要を記したチラシを配りに行った際、警備担当者からこう言われた。
中に入るには、1階入り口のインターホンを通じ、訪問先の住民に許可を得なければならないが、いったん入ってしまえば各戸を回ることはできる。
警備担当者はこれを警戒し、「一つの部屋から許可を得ただけで、ほかの階を訪れるのはやめてほしい。ほかの住民が嫌がる」と注文。結局、1度に訪問できるのは1フロアだけとし、別の階に行くにはいったん入り口に戻り、再度、別の階の住民から許可を得ることになった。50階クラスだと数人で担当するが、それでも何度もインターホンを押し、エレベーターなどで各階の行き来を繰り返さなければならない。
「国勢調査で」と訪問目的を言いかけた途端、インターホンを切られることもあり、「前回とは全く状況が違う。やりづらくなった」との言葉も漏れる。