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2005年10月08日(土) 00時00分

「授業参観、げた箱の名前隠す」 管理強める学校読売新聞

「指南本」も登場

 個人情報保護法の全面施行後、教育現場にも「匿名化」が押し寄せている。思い出の詰まった学校行事の写真すら生徒の卒業後は破棄するなど厳重な情報管理の下に置かれ、教師向けの個人情報保護マニュアルの本も異例の売れ行きを見せる。その一方、教師が私物パソコンに生徒の成績などを入力して持ち歩き、盗難に遭うなど、ずさんな扱いも明るみに出ている。

 東京学芸大付属大泉中学校(東京都練馬区)では、学校行事の写真は、該当の生徒が卒業するとシュレッダーで原則破棄している。研究に使う可能性があれば鍵の掛かる場所に保管する場合もあるが、担任らが「子どもたちとの思い出」などの理由で個人的に持つことはないという。全国書画展覧会あてに作品を送る際には、生徒名が記載されているため、出品者の保護者全員から同意も取った。

 同中の校長らが編集・執筆した教師向けのマニュアル本は5月の発売以降、教育関係の本では異例の約1万2000部が売れた。

 同中での実践例などを基に、成績の管理方法など重要な個人情報の保護の仕方も書いてある。だが、〈1〉授業参観時、子どもの作品やロッカー、げた箱などの名前は目に触れないようにする〈2〉運動会の選手名簿は終了後、破棄するか適切に管理する〈3〉行事で撮影した写真のうち生徒に提供できないものは破棄、必要最小限を校長らが管理する鍵付きロッカーで保存する——などの記載もある。

恩師に賀状出せない「住所直接聞いて」/HP、生徒の目にモザイク/連絡網は廃止

 個人情報保護法の全面施行に伴い、拍車がかかる教育現場での「匿名化」。スポーツ大会の選手名簿や緊急連絡網、ホームページの写真などにも広がっている。教師の自宅住所などを明かさない学校も多く、児童生徒や卒業生が教師に年賀状、暑中見舞いを出せない事態も起きている。

教師宅

 緊急時に担任に連絡できない状態も当然になりつつある。

 東京学芸大付属大泉中(東京都練馬区)の校長らが編集・執筆した「必携!教師のための個人情報保護実践マニュアル」(教育出版)には、「教職員の自宅は教えないのが原則」というくだりもある。

 同中の成田喜一郎副校長は、「教員の連絡先が生徒側に伝わると、教員のプライバシーがなくなり、保護者らからの苦情処理に心身が疲労することも考えられる。学校としては、教員の労働安全管理の必要もある」と話す。同中の教師の一人は、「非常時には、副校長が持つ専用携帯電話に連絡してもらう。生徒が年賀状を書きたい場合は直接住所を聞いてもらうしかないですね」と言う。

名簿回収

 最近、急激に扱いが変わっているのは、緊急連絡網などの名簿だ。流出を恐れ、本人の前後2、3人だけにしたり、作成や配布を取りやめたりしている。

 筑波大付属中(文京区)では今年度、全生徒の連絡先が載った名簿をこれまで通り配布したが、年度末に回収することにした。奈良県大宇陀町の町立中は、数年前から緊急連絡網の配布もやめている。臨時休校などの場合は、担任らが全員に電話をかけて知らせるという。学外に情報を発信するホームページや「学年だより」からも、子どもの顔や名前が消えている。

 昨年9月にホームページを開設した千葉県野田市の市立中は、生徒の顔が判別できる場合は、目の部分にモザイクをかけている。担当者も「不自然」と認めるが、「不審者やネットでの攻撃から生徒を守るためには仕方がない」。ぼかし、低解像度、後ろ向き……。学校ホームページには、そんな写真が並んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6000/fe20051008_01.htm