2005年10月07日(金) 22時08分
<悪質リフォーム>認知症姉妹との契約業者に改善指示処分(毎日新聞)
埼玉県富士見市の認知症の老姉妹が全財産を失った訪問リフォーム問題に絡み、埼玉県は7日、姉妹と契約を交わした住宅リフォーム会社「ハウス・ケアー・サービス」(東京都世田谷区、青田文敏社長)に、特定商取引法などに基づき「消費者の判断力不足に乗じて契約を結んだ」として改善指示処分を出した。20日までの業務改善報告書提出を求めている。
姉妹宅を訪問・契約した計19業者(契約総額約5200万円)のうち、行政処分は初めて。また、同法が禁じている「判断力不足に乗じた契約」での行政処分も全国で初めて。
指示処分などによると、同社は富士見市の姉妹に対し、調湿剤散布、床下換気扇工事などの名目で2カ月間に15回、19業者では最高の計2500万円以上の契約を結んだ。特に調湿剤については8回の契約で、約35平方メートルの床下面積に対し通常の3〜8倍にあたる計177袋(1袋10キロ)を散布した。埼玉県は「住宅の新築代金に匹敵する高額契約で、通常の判断力があれば容易に締結するとは考えられない」として「判断能力が不十分であることに乗じた契約」とした。
また、県は同社がこの姉妹以外と交わした契約の際にも、「調湿剤はクーリング・オフの対象外」と事実と異なることを告げたなど8項目の違法行為があったと認定した。同社に関して、県には97〜04年度に計48件の相談が寄せられている。【秋本裕子】
◇特商法の通達改正が今回の処分に
埼玉県富士見市の認知症の老姉妹が全財産を失った訪問リフォーム問題で、高額な契約を結ばせていた東京都世田谷区の住宅リフォーム会社「ハウス・ケアー・サービス」が7日、行政処分を受けた。問題の発覚から5カ月。関係者からは「処分が遅すぎる」との批判もあるが、悪質リフォームの社会問題化を受けて国が特定商取引法(特商法)の通達改正に踏み切ったことが今回の処分につながった。
特商法は高齢者らの判断力不足につけこんで契約を結ばせる行為を違法としている。富士見市の老姉妹の場合、現在は認知症と診断されているが、契約時に判断力が不足していたかは明確でなかった。
しかし、悪質リフォームが社会問題化したことから、経済産業省は8月10日付で同法の通達改正を行い、具体的な違反行為を明確化。判断能力の有無は問わずに、富士見市のように、新築代金に匹敵するような高額の契約を結ばせた業者の行為を違法とした。
同市のケースは2500万円を超える契約で、県は「新築代金に匹敵し、通常の判断力があれば契約しない」として、違法行為があったと断じた。
姉妹宅を調査した一級建築士でNPO法人「ピュアライフ・ネットワーク」理事長、石田隆彦さんは「ハ社は姉妹宅を訪れた中で最も悪質だった。実際に工事したのは契約全体の3分の1程度にすぎない」と指摘。ハ社は今月4日、東京地裁に自己破産を申し立てている。石田さんは「被害発覚から約5カ月が過ぎ、既に破産を申し立てた会社への行政処分にどれだけの効果があるかは疑問だ」と話している。【須山勉、村上尊一】
(毎日新聞) - 10月7日22時8分更新
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