悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2005年10月06日(木) 00時00分

悪徳リフォーム『仕事はゲーム』 番付張り“ニンジン作戦” 東京新聞

 建設会社「エム・エイチ・エス」の元役員らによる住宅リフォーム詐欺事件で、警視庁に逮捕された元同社役員白倉敬之容疑者(26)らは、リフォーム工事の契約の際、信販会社へ提出するクレジット契約書類に顧客に代わってサインを記入するなど強引に契約を迫っていたことが五日、関係者の話で分かった。また、同社社長(37)が社内だけで通用する“小切手”を営業成績に応じて社員に配るなど、独自の経営哲学で社員同士を競わせ、業績を挙げていた実態も明らかになった。

 エム社社長の独特な経営手法について、関係者は「社長自らがゲーム感覚の報酬システムを発案していた。それがサムニングループに引き継がれ、若手社員らの暴走を招いたのでは」と打ち明ける。

 関係者によると、エム社は一九九七年十二月にマイホームサービスとして設立され、九九年ごろに始めた浄水器の訪問販売で業績を伸ばした。二〇〇〇年十一月ごろ、リフォーム業に進出し、社長の指示で「調査部」と「テレアポ部」を発足させた。全国に派遣された調査部員が住宅の表札から独り暮らしの高齢者を割り出し、テレアポ部員が過去のリフォーム歴を電話で聞き出した。

 これらの調査結果をもとに「アポインター」「クローザー」といった肩書を持つ営業マンが、高齢者を回って次々に強引な契約を重ねていた。社長は「営業マンが一からドアをたたくのは効率が悪い。単価の安いアルバイトを調査部やテレアポ部に使うのは名案だ」と自画自賛していたという。

 さらに「春場所」「夏場所」と称した営業強化月間を導入して社員らに営業成績を競わせ、成績に応じて横綱や大関などを決めた番付を社内に張り出した。好成績の社員には海外旅行や外車を与えたり、社内で現金に交換できる十万−二十万円程度の“小切手”を配った。「仕事はゲーム感覚で楽しくやってもらわないと駄目だ」が社長の哲学だったという。

 関係者は「会社は完全にトップダウンで動いていた。社長を崇拝するような雰囲気が漂っていた。社長にあこがれて服装をまねる社員もいた」と話す。

 東京都によると、エム社は八月末、サムニングループの摘発のあおりを受けたとして都に建設業の廃業届を提出した。役員らが逮捕された今月五日現在、本紙の取材申し込みに対し回答していない。

■苦情ならすぐ解約 

 警視庁に詐欺容疑で逮捕された「エム・エイチ・エス」の元役員白倉敬之容疑者らは、狙いを付けた顧客が自ら字を書くことが困難な高齢者だった場合、手を握って必要事項を契約書類に書き込ませたり、子どもの住所や名前を聞き出して自分たちで保証人欄に書き込んでいたことが関係者の証言で分かった。信販会社の審査を通りやすくするため、顧客の生年月日をごまかし、実年齢より若くしていたケースもあったという。

 さらに、信販会社に「お客さんがいるこの時間にお願いします」と信用審査の電話を入れる時間を指定。信販会社から連絡が入る時間帯を見計らって顧客宅に居座り、解約されないよう“圧力”をかけていた。

 一方、こうした勧誘方法に対し、東京都消費生活総合センターには顧客からの苦情が殺到。エム社は対策のために同センターを担当する専門社員を配置。小まめに同センターを回らせて苦情が入ったことが分かると、積極的に解約に応じるなどクレーム処理に前向きな姿勢をアピールして社名公表などの行政処分を受けないよう工作していた。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051006/mng_____sya_____006.shtml