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2005年10月06日(木) 00時00分

弁護士照会、回答拒む 「保護法、厳格に運用」読売新聞

消費者金融、銀行など

 個人情報保護法の全面施行後、消費者金融や銀行などが、債務者の依頼で弁護士が求めた本人の情報開示を拒否したり、これまでにない煩雑な手続きを求めたりする例が相次いでいることが分かった。振り込め詐欺に使われた口座の問い合わせにさえ応じないこともある。事態を重視した日本弁護士連合会(日弁連)などが是正を求めた結果、金融庁は企業側の対応を事実上追認する予定だった指針案の見直しを決めた。

消費者金融

 東京の三弁護士会で運営する「法律相談センター」などによると、弁護士が消費者金融に対し、依頼者の借り入れ状況など「取引履歴」の開示を求める際、依頼者の委任状や印鑑証明、手数料などを要求する業者が増加。センターの内藤満弁護士は、「これまで協力していた業者が突然要求し始めた。応じれば非常に時間がかかり、払いすぎた利息の早期の返還などが困難になる」と憤慨する。約4分の1の業者がこうした対応になったという。

 「ほのぼのレイク」で知られるGEコンシューマー・ファイナンス(東京)は、「弁護士が依頼を受けていない場合も考えられ、保護法を厳格に運用している」と話す。

 金融庁も貸金業者に対し、債務者本人や代理人への情報開示を義務付けると同時に、委任状提示など確認方法を例示した指針を9月末に示す予定だった。ところが、弁護士側の強い反発もあり、「例示が絶対と受け取られるのは本意ではない。簡単な確認方法もある」と、見直すことにした。

銀行

 ヤミ金融や振り込め詐欺に使われた銀行口座について、弁護士の照会に銀行が回答しない例も目立つ。ヤミ金融問題に詳しい宇都宮健児弁護士は、「被害者救済には素早い対応が大事なのに銀行の姿勢は犯罪者を利するだけ。個人情報保護をはき違えている」と批判する。保護法は、本人の同意がない個人データの外部提供を禁じているが、法令に基づく場合は例外的に可能だ。だが、弁護士法に基づく「弁護士会照会」に回答しないケースも出ている。

 東京、大阪、名古屋の各銀行協会は4月以降、破産整理などのため依頼者の「不渡り情報」を求めた弁護士の照会を拒否する通知を出し始めた。いずれも保護法の厳格運用が理由だ。

 弁護士会照会 弁護士法上、弁護士は依頼を受けた案件について、弁護士会を通じて行政機関や団体に必要な報告を申し出ることが出来る。弁護士の調査や証拠収集に大きな役割を果たしており、年6万7000件の利用がある。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6000/fe20051006_01.htm