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「容器は1年半前の1.5倍。国産大豆も一昨年、昨年と不作で3年前の3倍になってしまった」。「だるま食品」(茨城)の高野正巳社長(59)は頭を抱える。同社は原料にこだわり、製品の9割は国産大豆だ。昨秋は値段を据え置き、内容量を1割減らした。
国産大豆は一昨年は冷夏で、昨年は台風で2年連続の不作に見舞われた。価格は60キロ7000−8000円だったものが、2万円を超えた。もはや「国産はほとんどもうけがない」が、これ以上減量するわけにはいかない。かといって、価格競争が激化する中、値上げもできず、「もう手の打ちようがない」という状態に追い込まれた。
加えて今春から値上げされていない容器も、止まらぬ原油高で今月中にも値上げしそうな気配。唯一の光明は「今年の大豆は平年並みの収穫が望めそう」(高野社長)なことだ。「だが、また台風が来て水に浸かると大豆がダメになる」。天気予報をハラハラと見守る毎日だ。
一方、岡山県内の食品容器メーカーは、「昨年価格を1割上げ、今年は据え置いてきたが、来月には上げないとやっていけない」と打ち明ける。
食品容器となるプラスチック製品の原料となる石油化学製品は、総合化学最大手の三菱化学が8月末、平均30%の値上げと減産を発表。他社も追随している。
だが、同容器メーカーは、「食品はデフレが続いている。お客さんが値上げをのんでくれるかどうか」と心配する。
実は納豆そのものは、健康志向の高まりで需要は増加傾向にある。「だが単価が下がり、各家庭の納豆への支出は、平成12年をピークにほぼ横ばい。今年は対昨年比で若干下がっている」と説明するのは、全国納豆協同組合連合会。
納豆は、容器やタレ、茹でるためのボイラー原料、輸送コストとどれも原油がかかわる。連合会は「各メーカーの自助努力で吸収してきたが、今後も原油が上がれば、値上げを考えざるを得ないのでは」と話す。
危機感を抱いた連合会では今年5月、「ミス納豆」を選出。全国に派遣し、健康・美容効果をアピール。一層の需要掘り起こしを狙うという。
「納豆美人」が救世主となるといいが…。
■ちくわも短く!?
納豆以外にも高騰を続ける原油価格の影響が広がっている。ガソリンや航空運賃、銭湯の値上げはもとより、ドライクリーニング代やおでんの具になるちくわまでが値上げされそうな雲行きなのだ。
原油高はおでんにも飛び火した。「(石油製品の)トレーの値上がりと、白身魚のすり身価格の高騰で、非常に厳しい状況です」と悲鳴をあげるのが、ちくわなどの練り物を製造するカネテツデリカフーズ(神戸)。
同社によると、健康志向から欧州の魚消費量の増加などに加え、漁船の燃料高によるスケトウダラやイトヨリの漁獲高が減少し、原料費が上昇。食品トレーの高騰もあり、製造コストが増加した。
このため、同社は秋冬用の商品価格を15年ぶりに数%上げる方針だという。
業界大手の紀文食品(東京)もちくわやかまぼこなど217品を8月末から10%値上げした。
「油で始まり、油で終わるのがドライクリーニング。ただでさえ利益が薄いのに、これ以上の負担は限界」と話すのは、大阪府クリーニング生活衛生同業組合の佐藤栄理事長。
ドライクリーニングで使用する薬剤は石油が原料。洗濯物を乾燥させるボイラーも重油などを使用する。包装のビニールやハンガーも石油製品のため、経費は2−3割上昇しているという。
「10月以降はガスと電気料金も上がるので、値上げもやむなしという状況です」(佐藤理事長)
日常生活を直撃し続ける原油高。ますます財布が軽くなりそう。
ZAKZAK 2005/10/03